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米国公認会計士(U.S. Certified Public Accountant: USCPA)とは、米国各州が認定する公認会計士資格のことを言います。
米国の資格ではあるものの、日本をはじめ様々な国で活躍する方々が挑戦する資格です。
この記事では、米国公認会計士になるためのポイントをわかりやすく解説します。
米国公認会計士になるまで
まずは、米国公認会計士になるまでにどのようなプロセスを経るのかについて、その概要を説明していきます。
米国公認会計士の勉強開始から合格・ライセンス取得までの流れ
米国公認会計士となるためには、学位要件と単位要件の2つを満たす必要があります。
学位要件とは、4年制大学を卒業して得られる学士号のことで、日本の4年制大学を卒業していれば、学位要件は満たすことが可能です。
単位要件としては、会計学科などにおいて、一定の単位を取得することが求められます。
米国公認会計士(USCPA)の難易度とは
米国公認会計士試験は、最も難しい専門的な資格試験の一つと考えられているのは事実です。
長い、何百時間もの勉強時間が必要となり、日本人の4科目平均合格率はおよそ30%ほどしかないことも事実です。
米国公認会計士試験の難易度はどれくらいなのでしょうか?
米国公認会計士試験を管理しているAICPAによると、2022年のCPA試験全4部の累積合格率は以下の通りです(各セクションの意味については後述します)。
- AUD:48.16%
- BEC:59.68%
- FAR:44.93%
- REG:61.10%
試験は年間を通して行われますが、各セクションの受験者合格率は四半期ごとに発表されています。
試験は、時期によって合格しにくかったり、しやすかったりすることはありません。
合格率の向上は、単に受験者がより良い準備をしていることを意味します。
最も重要な数字は米国公認会計士の合格点となりますが、試験の各セクションは、0から99のスケールで採点され、米国公認会計士試験の合格点は各科目75点です。
さらに上を目指すなら、米国公認会計士試験の合格点を超えて、イライジャ・ワット・セルズ賞の受賞を目指すことも可能です。
この賞は、米国初の公認会計士の一人であり、AICPAの設立に積極的に関わった人物に敬意を表して名づけられました。
ワット・セルズ賞の受賞者は、4つのセクションすべてにおいて累積平均点が95.50点以上であり、初回受験で4セクションすべてに合格することが条件となりますが、就職のときなどに大きなアドバンテージとなります。
米国公認会計士(USCPA)の試験内容
米国公認会計士の試験は4科目の構成です。
一度にすべての科目に合格する必要はありませんし、一度にすべての科目を受験する必要もありません。
会計士として実務をこなす上で、基礎となる知識が幅広く出題されることが特徴です。
以下の分野について出題されます。
科目名・出題分野・出題割合 |
試験時間・出題形式 |
|
FAR:Financial Accounting & Reporting(財務会計) |
企業や非営利法人、政府機関、その他において求められる一般的な会計基準の知識、および、それらを業務において活用していくために必要な能力を問う科目です。 歴史的にCPA試験のセクションの中で最も低い合格率となっているのがこのFARセクションです。 CPA受験者は、しばしばFARをCPA試験の中で最も難しいセクションと呼んでいます。 ・企業会計 約80% ・政府と非営利組織会計士 約 20% |
・4.0時間 ・四択問題 66問/50% ・タスクベースシュミレーション問題 8問/50% |
BEC:Business Environment & Concepts(企業経営環境・経営概念) |
ビジネス界における多くの商取引について、その背景と会計的意義についての知識、およびそれを実務上で応用し、活用する能力を問う科目です。 BECは、他のCPA試験セクションを構成する多肢選択問題(MCQs)とタスクベースシミュレーション(TBSs)に加えて、筆記コミュニケーション(WCs)を含むことが特徴です。 ・管理会計・ファイナンス 約36% ・コーポレートガバナンス 約22% ・経済学 約22% ・IT概論 約20% |
・4.0時間 ・四択問題 62問/50% ・タスクベースシュミレーション問題 4問/35% ・記述式問題(Written Communication問題) 3問/15% |
AUD:Auditing & Attestation(監査および諸手続き) |
監査手続・GAAS(Generally Accepted Auditing Standards)・監査証明業務に関する知識、その他の基準等の知識、およびそれらを業務において活用していくために必要な能力を問う科目です。 他の3つのCPA試験セクションとは異なり、AUDは、問題を評価し、結論を導き出すために判断を下す受験者の能力をテストします。これらのスキルは、監査業務において最も重要であり、公認会計士に求められる監査や証明業務を行うために、受験者が正確かつ倫理的に状況を判断できることを確認しようとする試験です。 ・監査と証明業務 約80% ・会計士としての責任 約20% |
・4.0時間 ・四択問題 72問/50% ・タスクベースシュミレーション問題 8問/50% |
REG:Regulation(諸法規) |
Federal Taxation、 Professional Responsibilities(職業倫理と法的責任)、BusinessLawの知識、およびそれらを業務において活用していくために必要な能力を問う科目です。 他のセクションと比較して、高い合格率となる傾向にあるセクションとなっています。 主にビジネス法、倫理、連邦税の3つのトピックをカバーしています。最も注目されるトピックは、様々な形態の連邦税で、試験の半分以上を占めています。 ・連邦税法 約85% ・ビジネス法 約15% |
・4.0時間 ・四択問題 76問/50% ・タスクベースシュミレーション問題 8問/50% |
米国公認会計士試験にともなう主な費用
米国公認会計士試験には、いくつかの費用がかかります。
米国公認会計士試験のプロセスを開始するための最初の申請料があり、これは州によって異なりますが、一般的に150~250ドルの範囲内です。
また、追加の試験のために再申請する必要がある場合は、再申請料または登録料がおよそ100ドルほどかかります。
さらに、各州によって受験料が若干異なりますが、1回の受験料は大体238ドル程度です。つまり、合計で約950ドルの受験料となります。
米国公認会計士になるには?
米国公認会計士(USCPA)の資格を取得するためには、教育、試験、経験の条件を満たす必要があります。
すべての受験者は、4つのセクションからなる統一公認会計士試験(CPA Exam)に合格しなければなりません。
この試験は、「監査と認証(AUD)」、「ビジネス環境と概念」(BEC)、「財務会計と報告」(FAR)、そして「規制」(REG)の4つのセクションから構成されています。
米国公認会計士の試験はすべての受験者に共通ですが、その他の要件は管轄区域によって異なる場合があるので注意してください。
なお、米国公認会計士の試験はいつでも受験が可能(Continuous testing)です。
各科目を希望する日時を予約して受験します。
土日であっても受験することが可能です。
空席は、先着順で埋まっていくので、受験票の入手後はできるだけ早く予約手続きを進めてください。
出願州を選ぶ
米国公認会計士の試験は4科目で構成されています。
一度に全ての科目を受ける必要はありません。
試験の難易度やライセンスの価値はどの「州」でも同じです。
受験資格を満たしやすい州を選ぶのがポイントとなります。
受験の時期は科目ごとに自由に選択することができ、4科目いずれも99点満点で75点以上で合格です。
従来の米国公認会計士試験は、1 年を 3 ヵ月毎のセメスター(1~3 月、4~6 月、7~9 月、10~11 月)に分けて、USCPA 試験全4科目について、各科目各期 1 回、年間最大で4回の受験しか認められていませんでした。
しかし、この「期」の設定がなくなったため、すべての科目について回数の制約なく通年で受験ができるようになりました。
米国公認会計士試験を取り仕切るNASBAは、試験の日程を確保するために45日前にテストの予定を立てることを推奨しています。
試験の予約は、遅くとも試験の5日前までに行う必要があります。
予定された試験日に、一部または全部のセクションを受験することが可能です。
ただし、各四半期に1回以上、セクションを繰り返すことはできません。
あるパートに合格できなかった場合、次の試験枠で再受験の予定を立てなければなりません。
受験会場(日本・米国)を選ぶ
日本人および日本在住の外国人の方は、米国公認会計士試験を日本会場で受験できます。
試験会場は、東京(御茶ノ水)と大阪(中津)にあるプロメトリックテストセンターです。
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米国公認会計士になるために役立つ情報~American Institute of CPAs (AICPA)を活用しよう!~
米国公認会計士協会(AICPA)は、全米公認会計士協会(NASBA)と共同で公認会計士試験を運営する全米規模の専門機関です。
AICPAは、サンプルペーパーからチュートリアルビデオまで、様々なCPA試験対策ツールを提供しています。
米国公認会計士になるのは、かなり長くて大変な道のりです。
資格取得の準備を計画している場合、AICPAのUniform CPA Examination Bookletをチェックしてみてください。
これは試験について情報を得たうえでの様々な決断を支援するものです。
この冊子には、試験の概要やCPA申請プロセスから、受験者のリソースや試験のヒントまで、志望者が求めるものがすべて掲載されています。
試験概要、CPA申請プロセス、受験者リソース、試験のヒントなど、受験者が求めるものがすべて記載されているものです。
CPA試験の冊子の構成は以下の通りです。
- 受験者の要件
- 受験申請プロセス
- 採点プロセス
- 試験のヒント
- 役立つ情報源
試験に役立つ情報を提供しているサイト
以下では、米国公認会計士試験に役立つ情報を提供しているサイトを紹介します。
this way to CPA.com
this way to CPA.comは、AICPAが提供する情報サイトです。
米国公認会計士となるあらゆるステップにおいて必要となる情報を提供しています。
以下は、このサイトに掲載されている有用なリソースのほんの一例となります。
- 実在の米国公認会計士のプロフィール
- 最近の試験合格者の日記
- AICPA Studentの無料申し込み
- アフィリエイトの無料会員登録
- 自分に合った会計事務所を探すためのツール
- 会計プロフェッショナルのための奨学金制度や関連業界ニュース
- 学生向けニュース
- 受講生が作成したレビュー
Nasba.com
Nasba.comは、米国公認会計士試験のためのリソースとして以下のようなリソースを提供しています。
- 候補者のための詳細なリソース⇒候補者速報
- 候補者のパフォーマンスと傾向
- ブログ、記事、今後のイベント情報
- CPA Examination Services (CPAES)⇒受験者情報の提供
- 州ごとの受験資格⇒試験を受験するための州ごとの要件はnasba.org/cpaexamを確認してください。
米国公認会計士になるためのおすすめの勉強法!
米国公認会計士になるためには以下のポイントをしっかりと押さえて勉強することが大切です。
試験日を決めて勉強スケジュールを立てる!
米国公認会計士の試験は、一度にすべての科目に合格する必要はありません。
そのため、いつのタイミングですべての科目に合格することを目指すか、あらかじめきちんとスケジューリングしておくことが大切です。
インプットよりアウトプットを重点して勉強する!
米国公認会計士の試験は、どれだけ知識を持っているかということに重きをおいた試験ではありません。
実務でいかに活かすことができるかに重点が置かれた試験となっています。
したがって、知識の量(インプット)よりも、問題に応じた適切な解答(アウトプット)ができるように準備することが大切です。
サンプルテストなどで試験形式に慣れておく!
aicpa.org/cpaexam でチュートリアルとサンプルテストにアクセスできます。
(1)チュートリアル
チュートリアルでは、試験で用いるツールの説明がなされます。
チュートリアルトピックは 各サンプルテストの「Help」ボタンの下にあります。
なお、チュートリアルには、実際の試験の内容は含まれていません。
(2)サンプルテスト
サンプルテストは、プロメトリックのテストセンターで受験されるのと同じソフトウェアを使用したテストです。
各試験のセクションには、1つのサンプルテストがあります。
本番の試験で体験する問題の種類、ツール、リソースで練習できるので、本番と同じ形式でテストを受ける練習ができます。
米国公認会計士になる人のためのFAQ
米国公認会計士になる人がよく質問する事項について、以下ではまとめます。
Q: 試験の各セクションを受ける正しい順番はありますか?
A: 正しい順番はありません。個人の好みによって異なります。
自分にとって正しい順番を決めるのはあなた自身です。
Q: 試験に合格するためにはどれくらいの期間勉強すればよいですか?
A: 上記の答えと同じように、これは本当に個人によって異なります。
週に数時間の学習ですべてのセクションに合格できる人もいれば、週に数時間の学習で合格できる人もいます。
ある人は週に数時間の勉強ですべてのセクションに合格できますし、ある人は合格するために週に25時間以上の勉強が必要である可能性もあります。
勉強と準備のために確保できる時間が多ければ多いほど、合格の可能性は高まります。
Q: すべての受験者が同じ試験を受けるのですか?
A: 受験者はそれぞれ異なる、しかし同等の試験を受けることになります。
Q: 新しいコンテンツが試験対象となった場合、どのようにして知ることができますか?
A: これは、AICPAのPolicy on New Pronouncementsと呼ばれるものです。
これが、新しい内容が試験の出題対象となるまでの期間を定めたものです。
aicpa.org/cpaexamの「試験勉強用資料」セクションでご覧いただけます。
Q: 経験要件とは何ですか?
A: 多くの国では、公認会計士の下で1年間働いた経験が必要です。
ほとんどの地域において、公認会計士の下で1年間働いた経験がなければ、米国公認会計士として認可されません。
ただし、2年以上の経験を要求する州もあります。
Q.試験結果はどれくらいで受け取れますか?
A: 通常、AICPAは試験結果を処理し、試験日から30日以内にスコアを発表します。
その後、結果は、あなたの州の会計士会に送られます。
ほとんどの人は、1週間ほどでNASBAから結果を受け取ります。
まとめ
米国公認会計士になるためには、学位要件と単位要件を満たしたうえで、4つの科目に合格する必要があります。
コンピュータ形式の試験で、東京や大阪でも受験することができますし、いつでも受験できるなど、日本の公認会計士試験とは大きく試験制度が異なっているので注意してください。
米国公認会計士となるには、日本の公認会計士となるのと同様に、膨大な量の勉強が必要となります。
簡単に突破できる試験ではありません。
それでも合格を目指すのであれば、AICPAなどで公開されているリソースを積極的に活用することが大切です。
AICPAには合格者の体験記なども公開されているので積極的に活用してください。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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