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ここでは簿記2級の資格はどういった難易度なのか。資格をとった場合、どういったキャリアプランが開けるのかについて解説をしていきます。
結論から言ってしまうと、簿記2級というのは大変有用なスキルです。
チャンスがあれば、ぜひ取得を目指して欲しいと思います。
簿記2級を仕事に活かすための勉強
簿記2級を取ることで、事業会社での経理への道が開けます。
しかし、簿記2級をとるのはそれほど簡単ではありません。
ここでは、簿記2級の特徴や必要な勉強方法について解説していきます。
年々難化している
簿記2級の試験は年々難化しています。
ここ数年で連結会計、外貨建て取引、税効果会計など、難しい論点が簿記2級に追加されています。
これらは理解をするのがまず難しく、すぐに理解できるというものではありません。
すでに簿記2級をとった人で「簿記2級は簡単だよ」とおっしゃっている方がたまにいらっしゃいますが、今の簿記2級は以前に比べ、はるかに合格が難しくなったと言えます。
ただ、連結会計や税効果会計といったものは大手の会社経理ではつきものの論点でもあります。
こうした概念を理解していると、いざ実際に仕事でこうした処理に出くわした時に、処理を理解できる効率があがり、業務に馴染みやすくなります。
簿記2級に合格できる方はいわゆる“即戦力”になりやすくなっているとも言えます。
試験範囲でつまずきやすいポイント
簿記2級の試験範囲でつまずきやすいポイントをいくつかご紹介いたします。
まず何といっても連結会計でしょう。
この論点を理解するには、まず本支店会計ができるようになっておく必要があります。
本支店会計では、本支店間で発生する取引について、本店の処理と支店の処理をそれぞれ連動させて、本店の立場、支店の立場で仕訳をきれるようになっておく必要があります。
連結会計でも、親会社の立場、子会社の立場でそれぞれ仕訳をきっていく必要がありますので「各立場によって会計処理をすすめていく」ということができる必要があります。
この考え方ができないと、ダウンストリーム、アップストリームといった論点で確実につまずきます。
また、のれんの発生とその処理、親子会社間の取引処理は時系列で把握する必要がでてきます。
実際に問題を解く上では、タイムスケジュールを書いて、それで理解していく必要があります(タイムスケジュールの書き方は、簿記勉強のテキストに大抵のっています)。
このタイムスケジュールをもれなく書いて、かつ仕訳におこすにはかなり慣れが必要のため、頭で理解するだけでなく、実際に手を動かして練習する必要があります。
必要な勉強時間や勉強法
簿記2級に合格するために必要な勉強時間は、簿記初心者で300〜350時間程度、簿記3級取得者で200〜250時間程度となっています。
期間で言うと、およそ半年ほどの勉強が必要になります。
単純にお金のやりとりを仕訳におこすだけでなく、お金のやりとりを時系列で把握したり、税効果会計という、一般の考え方からかなり離れた論点を勉強しないといけないため、その把握にどうしても時間がかかります。
こうした論点を把握するための勉強法として、まず科目の概念をきちんと理解しましょう。
例えば税効果会計を例にとると、なぜこんな会計処理をしないといけないのか、というところから理解をしないといけません。
財務会計と税務会計の処理の違いを解消するために仕訳をきるのですが、そのことをまず理解しないと、自分は今何をやっているのかさっぱりわからないという状態になりがちです。
その状態でいくら手を動かしても論点の理解ができないですし、少し応用的な問題がでただけでわけがわからなくなってしまいます。
概念をきちんと理解する、という工程が大事です。
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簿記2級を仕事にするためには
簿記2級は経理の仕事を得るための第一歩と言えます。
それでは、簿記2級をとると、どういったところで働くチャンスが生まれるのか、何をするのか、といった点について述べていきたいと思います。
会社の経理や会計事務所への就職が一般的
簿記2級を取った場合、会社の経理や会計事務所への就職が一般的です。
就職の募集要項に簿記2級を条件にしていることが多く、簿記資格なし、経理経験なしでは中々採用はされないと思います。
また、簿記3級では現場で行う処理に対応しきれないことが多く、簿記2級クラスの実力はやはり必要となってきます。
会社の経理では自社の会計処理のみをやりますが、会計事務所では様々な企業の記帳を代行する仕事をすることになります。
色々な会計処理に触れていきたいのであれば、会計事務所での仕事が選択肢に入ると思います。
しかし、近年人手不足もあり、会計事務所での仕事はそれなりにハードなうえ、給与や福利厚生といった待遇面が充実していない事務所様もありますので、就職にはそれなりに覚悟が必要です。
実務では簿記2級の知識ではカバーしきれないところがでてくる
実務では、簿記2級で(というか簿記の資格試験で)取り扱ってくれないような論点というのもでてきます。
経理初心者の方がまずつまずくであろうところは、社会保険料の処理仕訳かと思います。
社会保険料は、会社と従業員で折半して納めるものです。
会社側は従業員負担分の社会保険料を“預かり金”として処理し、会社負担分の社会保険料を“未払費用”として計上し、実際に社会保険料を納付する段階でこうした負債項目を取り崩す、という処理が一般的です。
1月分の給与を2月に支払うといった場合、預かりは1月のものになり、社会保険料の納付は1月を払うことになります。
少しややこしく感じたでしょうか?
この論点、簿記の試験ではいっさい問われません。
混乱しやすいと思うのですが、本当に簿記試験では聞かれないので、実務を通して理解していく必要があります。
こうした、簿記試験ではでてこないけど実務では必ず処理が求められる、といった論点が度々でてくるので、実際に実務をやる上ではこのような追加の勉強が必要になるということを心掛けてください。
現場の仕事をとにかく覚える
簿記は毎月の定例作業です。
慣れない最初のうちは覚えることがとても多く大変に感じますが、基本的に毎月同じような処理を行うため、一度仕事を覚えてしまえばかなり心理的な負担は減ります。
ただし、四半期や年次の決算時のみ行う決算整理仕訳というものがあり、それは別途覚える必要があります。
一度年間を通して実務作業を行えば、かなり理解ができてくると思います。
簿記を使って会社経理や会計事務所に入社したら、とにかく現場の仕事を覚えることに集中しましょう。
一度覚えれば大分戦力になれます。
企業の規模感でやる業務の内容が変わってくる
現場ではどんな処理を求められるのか、これは会社の規模感でかなり違ってきます。
例えば、中小企業で特に子会社も持ってない、株や土地も持ってない、本業のビジネスのみをやっている、というのであれば処理はあまり難しいものは出にくいです。
難易度としては比較的イージーになります。
しかし、例えば規模の大きな会社では求められる会計処理が難化していきます。
従業員が多いと、例えば中途入社の人がはいってきたり、何らかの事情で休職する人がでてきたり、と作業が複雑化してきます。
そうした会社の給与計算もやっているとなれば、かなり大変な作業になります。
簿記2級を取っていれば、後は実務経験がものをいう
簿記2級をとっていれば、会社経理や会計事務所への就職の道が見えてくる、と述べました。
正直なところ、一度入社してしまえばあとは実務での経験がものをいいます。
“連結会計を担当してきた”、“税効果会計の処理もやっている”、”〇年経理業務をやってきた”、こういった経験値があなたの市場価値を高めます。
簿記1級は取得するための難易度がまるで違うため、チャレンジするには相当な覚悟が必要です。
簿記2級の資格をとってしまえば、より難しい資格の勉強をするよりも、様々な会計処理をしたという実務経験の方が会社から即戦力としてみてもらえます(昇進を狙っているのであれば、追加で資格取得する必要がある場合もあります)。
経験を積めば、大手企業への道がひらける
現場で経理の経験を積めば、大手企業への就職の道も見えてきます。
どの業界もそうだとは思いますが、経理も人手不足です。
最新の簿記試験に受かっており、かつ現場経験を何年も積んでいれば即戦力になります。
企業では、そうした即戦力は喉から手が出るほど欲しい人材です。
就職したいと狙っている企業と同じ業界の経理処理の経験がある、連結や税務も理解できるとなれば、さらに採用に対して強いアピールができます。
ですから、現場で数年経理の仕事をして、その後ステップアップでもっと大きい会社への就職を狙う、というルートが存在しています。
大手企業の方が福利厚生といった待遇もよく、会計知識がより詳しい人と一緒に仕事をする機会も増え、自身の勉強にもなります。
自身の市場価値を高める、といった観点で動いていくとよいでしょう。
まとめ
ここまで簿記2級の試験について、そして資格をとったらどういったキャリアが開けるのかについて解説してきました。
簿記ができるというのは会社の数値が理解できるということであり、とても有効なスキルと言えます。
自分の学歴では雲の上のように感じていた大手企業への就職可能性もでてきます。
とても有用なスキルなので、ぜひ簿記を勉強して欲しいと思います。
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