転職お役立ち情報
税理士という仕事の必要性について、AIをはじめとした技術の発展により将来仕事がなくなるのではと不安に思う人も多いかもしれません。
今回は税理士資格を取得するか悩んでいる人に向けて、税理士の必要性についてお話しします。
税理士の必要性を仕事内容から判断
まずは税理士の必要性について、税理士の仕事内容から考えます。
税理士の独占業務
税理士はその名のとおり税務の専門家です。
税理士は税務に関する以下3つの独占業務を有します。
- 税務代理
- 税務相談
- 税務書類作成
税務に関連する手続きや作業は、基本的に税理士のみが対応できるというイメージです。
独占業務以外の仕事内容
税理士は独占業務である税務業務以外にも、さまざまな業務を行います。
独占業務以外の仕事内容の例は以下のとおりです。
- 記帳や経理代行
- 給与計算
- 社会保険関連手続き
- 会社設立代行
- 会計・経営コンサルティング
- M&Aや事業承継のコンサルティング・サポート
- その他会計・経理・税務関連の業務全般のサポートやアドバイス
会計や経理は税務分野ほどではないものの、専門知識や経験が求められる場面が少なくありません。
そのため税理士は、独占業務である税務分野に限らず、関連する業務も併せて引き受けるケースが多くみられます。
税理士は替えのきかない職業
近年、AIやIT技術が急速に成長しており、多くの税務・会計業務の自動化が実現しているのは事実です。
実際、システムの急速な発展により、さまざまな場面で変化が生じています。
会計ソフトが存在せず手書きが前提だった時代と現代では、仕事の進め方はまったく異なるといえます。
しかし将来的に、税理士の必要性が完全に失われる可能性は低いです。
今後も税理士は必要とされ続けるでしょう。
税理士が必要といえる理由として、以下の3つが挙げられます。
- 独占業務である税務は専門性が高く複雑なため、AIやITがすべて代替できる可能性は限りなく低い
- 税務や会計は個々の状況に応じて判断が必要な場面が多く、完全に自動化するための設定はできない(非常に難しい)
- 税理士には単純な作業代行だけでなく、アドバイスや親身な対応も求められている
コンサルティングや個々の状況に合わせた柔軟な対応は、AIやシステムにはできません。
また税理士は単純な業務遂行だけでなく、相談を聞いてくれる専門家・頼れる人という役割も求められています。
税理士は替えのきかない職業であり、税務や会計が存在する以上は税理士も必要とされ続けるはずです。
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税理士資格の必要性は?取得する価値はある?
税理士は替えが効かない職業であり、今後も必要とされ続ける資格であると考えられます。
しかし世の中にとって必要な資格が、必ずしも自身に必要な資格とは限りません。
税理士資格を取得する価値があるか否か、3つの面から考えます。
税理士資格の取得によってできること
税理士資格の取得によってできるようになることとして、具体例を3つ紹介します。
税理士の独占業務
税理士の独占業務、すなわち税務業務を行うためには、税理士資格の取得が欠かせません。
税務業務をしたい人や税務に興味がある人にとって、税理士資格は取得する価値が十分にあるといえるでしょう。
独立開業
税理士は後述するように、独立開業がしやすい資格です。
将来は独立したいと考えている人にも、税理士資格の取得は有力な選択肢といえます。
クライアントを近しい場所でサポート
税理士は税務をはじめ、会計・経理の代行や経営に関するコンサルティングなども行います。
クライアントを幅広い面で専門的にサポートできる立場です。
特にクライアントと顧問契約を締結した税理士の場合、クライアントと非常に近しい位置に立ちます。
クライアントと密接に関わり、近しい位置からサポートしたい人にもおすすめです。
税理士が得られる年収
税理士が得られる年収は、所属する事務所の規模や税理士の経験年数によって大きく異なります。
事務所規模ごとの目安は以下のとおりです。
- 大手(BIG4)・準大手:600~800万円
- 中小事務所:400~600万円
- 個人事務所・零細事務所:300~500万円
あわせて、年代による年収の目安も紹介します。
20代前前半 | 300万円台後半 |
20代後半 | 500万円前後 |
30代 | 500~800万円台 |
40代 | 600~1,200万円 |
50代 | 700万円〜 |
民間給与実態統計調査によると、給与所得者の平均年収は毎年400万円台前半となっています。
以上のことから、税理士は日本の平均年収を上回る高年収を得やすい職業といえるでしょう。
資格取得の難易度も要確認
資格取得を目指すか否かは、資格によってできることや年収だけでなく、試験にかかる労力も考慮して判断する必要があります。
税理士資格の難易度を考える上で役立つ情報を紹介します。
税理士試験の概要
税理士試験は科目合格制が採用されている試験です。
必修2科目・選択必修1科目・税法2科目の計5科目に合格することで、税理士登録の申請をするための資格が与えられます。
一度合格した科目は生涯有効であり、数年かけて5科目合格を目指すのが一般的です。
試験の合格率
税理士試験の合格率は決して高くありません。
全科目の中でも比較的合格率が高いのは必修2科目である簿記論および財務諸表論です。
いずれも合格率は15〜20%程度となっています。
そのほかの税法科目の合格率は15%前後であり、年によっては10%を下回るケースもあります。
合格率の低さから、税理士試験の合格には多大な労力を要すると判断できるでしょう。
合格までに必要な勉強時間
税理士試験5科目合格までに必要な勉強時間は、3,000時間がひとつの目安とされています。
ただし3,000時間勉強すれば合格できるものではなく、合格には最低でも3,000時間は勉強したいというイメージです。
平均は4,000時間程度であり、5,000時間を超えるケースもあります。
自身にとって税理士資格の必要性があるか判断するポイント
では、自身にとって税理士資格の必要性があるか判断するにはどうしたら良いのでしょうか。
最後に、ポイントを3つ、注意点を1つ紹介します。
税理士資格を取得したい理由があるか
まずは、税理士資格を取得したい理由があるか考えましょう。
これまで紹介したように、税理士試験の合格までには多大な労力と時間を要します。
非常に難易度が高い試験であるため、長い時間勉強をしても不合格となる事態も起こり得ます。
難易度が高い試験に向けて勉強を続けるのは大きな負担です。
税理士資格を取得したい理由や、税理士資格を取得する明確な目的がなければ、税理士試験に向けた勉強はおすすめできません。
今の仕事に不満があるか
今の仕事に不満があるか、今の仕事を辞めてでも税理士になりたいか、十分に考えて判断する必要もあります。
税理士資格を取得した後は、税理士として働くことになるでしょう。
現職の内容によっては、仕事内容がまったく別のものになる可能性もあります。
もし今の仕事が好きだと思っている場合、税理士として働き始めてから、前の仕事に戻りたいと思うケースが有り得ます。
現職が特別好きなわけではなくても、税理士資格を取得してから、前職の方が好きだったと気づく可能性もあるでしょう。
現職に不満がない・現職を続けたいと思う場合、税理士資格を取得するメリットが小さい恐れがあります。
勉強する時間をしっかり確保できるか
勉強する時間をしっかり確保できるかも大切なポイントです。
税理士試験合格までに必要な勉強時間の目安は3,000時間、平均は4,000時間程度と紹介しました。
3年で5科目合格というペースで考えても、1年で1,000時間以上の勉強時間が必要です。
毎日勉強する場合でも1日最低3時間弱、ライフスタイルによっては平日は短時間・休日にまとめて勉強することになります。
勉強する時間の確保が難しい場合、そもそも税理士に向けた勉強ができない恐れが大きいです。
自身のライフスタイルを考え、税理士試験の勉強をする余裕があるか検討する必要があります。
年収や良いイメージだけで判断するのは危険
税理士資格を有することで、クライアントに近い位置から専門的なサポートを実施できるようになります。
独占業務以外にも幅広い業務ができ、やりがいのある仕事ともいえるでしょう。
また日本の平均年収よりも高い年収を得やすい点も魅力のひとつです。
しかし年収や良いイメージだけで、自分も税理士資格を取得したいと判断するのは危険です。
税理士資格を取得するまでには、多大な時間と労力を要します。
やりたい仕事や資格をとりたい理由によっては、資格取得に要するコストと得られるリターンが釣り合わないと感じる恐れが大きいです。
税理士の良い面だけでなく、資格取得の難易度や注意点を押さえたうえで、自身にとって必要性の高い資格であるか判断しましょう。
まとめ
税理士資格はIT技術やAIの発展により、将来的に必要なくなる仕事という意見も存在します。
確かにIT技術やAIの発展は、税理士という職業のあり方や求められるものを変える理由にはなるでしょう。
しかし税務の専門性や複雑性の高さ、税理士に求められるパートナーという役割から、税理士の必要性がゼロになるとは考えにくいです。
将来的にも、税理士は必要とされ続けるといえます。
ただし世間にとって税理士が必要な職業であっても、自身にとって必要性のある資格とは限りません。
税理士資格を取得するか否か、資格取得の難易度や注意点も考慮しながらしっかり検討する必要があります。
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