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簿記1級の難易度はどれぐらい?メリットや合格に向けたポイントも紹介

更新日:2024.11.13

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簿記1級の難易度はどれぐらい?メリットや合格に向けたポイントも紹介

簿記1級の難易度はどれぐらいなのでしょうか?

簿記1級は2級までに比べ難易度が格段に高くなります。

簿記1級に合格するには、試験日を知ったうえで申し込み、適切な準備を行わねば合格できません。


過去問などを通じて自分の現在地を知り、勉強時間を割り出し、簿記1級ならではの特徴やポイントを押さえておくことも大切です。

 

簿記1級の難易度を突破するために知るべきことを解説します。

メリットや合格に向けたポイントも紹介していきましょう。

簿記1級の難易度 合格率編

まずは簿記1級の難易度について、合格率の面から考えていきます。

簿記1級の合格率は毎回10%前後

簿記1級の合格率は、毎回10%前後です。

商工会議所の公式サイトで公開されている受験者データから、過去4年で開催された簿記1級試験の合格率をまとめました。

 

開催回

合格率

162回(2022年11月)

10.4%

161回(2022年6月)

10.1%

159回(2021年11月)

10.2%

158回(2021年6月)

9.8%

157回(2021年2月)

7.9%

156回(2020年11月)

13.5%

153回(2019年11月)

9.8%

152回(2019年6月)

8.5%

 

参照元|商工会議所の検定試験 1級受験者データ(統一試験)

 

やや変動はありますが、10%を切ることも多いです。

簿記1級の合格率は毎回かなり低いことがわかるでしょう。

 

 

日商簿記と全商簿記の違いについてはこちらの記事もご覧ください。

日商簿記と全商簿記の違いとは

実質的には相対評価の試験

簿記1級の試験は4科目からなり、満点は100点。

70点以上で合格です。

 

このように、合格基準が公表された試験ではありますが、いずれの回も合格率は10%前後で大きな違いはありません。

すなわち、上位10%の受験者が合格になるよう配点の調整が行われているといえます。

 

したがって、簿記1級は実質的には相対評価の試験であり、正答率70%以上を目指すのではなく、上位10%に入る必要があるのです。

【参考】簿記3級・2級の合格率

参考として、同じ簿記検定の3級・2級の合格率についても紹介します。

 

開催回

3級合格率

2級合格率

162回(2022年11月)

30.2%

20.9%

161回(2022年6月)

45.8%

26.9%

160回(2022年2月)

50.9%

17.5%

159回(2021年11月)

27.1%

30.6%

158回(2021年6月)

28.9%

24.0%

157回(2021年2月)

67.2%

8.6%

156回(2020年11月)

47.4%

18.2%

154回(2020年2月)

49.1%

28.6%

153回(2019年11月)

43.1%

27.1%

 

参照元|商工会議所の検定試験 3級受験者データ(統一試験)2級受験者データ(統一試験)

 

3級の合格率は40〜50%、2級の合格率は20〜30%程度といえます。

1級の合格率は10%前後であるため、1級は突出して難易度が高いことがわかるでしょう。

 

なお、3級・2級はいずれも回によって合格率の変動が大きいです。

対する1級は多少の変動はあれど毎回合格率は10%前後で変わりません。

 

3級・2級と比較することで、1級は相対評価の試験であることがわかります。

簿記1級の試験について

簿記1級の試験について改めて解説します。

 

高難易度と言われ、税理士試験の簿記論免除資格でもある簿記1級。

先に述べたように、科目は4科目あり、実は1科目でも基準に満たなければ不合格となります。

得意な試験科目だけではなく、バランスよく勉強しなければ合格は難しい試験です。

試験時間と試験日

統一試験は、基本的には年3回行われています。

これは1~3級すべての試験が行われ、2、3級には団体受験・ネットでの受験も可能です。

ただ、簿記1級は今のところ、会場試験のみになります。

商業簿記・会計学で90分 、休憩をはさみ工業簿記・原価計算で 90分、計180分、3時間の試験です。


高難易度の問題に集中して取り組む力が求められるでしょう。

また、試験開始は9:00からなので、夜型の人は注意が必要です。

合格の基準

先ほど満点は100点だと解説しましたが、4科目それぞれ25点ずつ配点されています。

合格基準は70%以上。

ただし、1科目でも得点が40%未満の科目があれば、合計得点が70点以上でも不合格となります。

 

苦手を作らず、まんべんなく得点することが重要だとわかるでしょう。

試験内容

科目は2級より科目が増えています。

 

4科目の内訳は

  • 商業簿記 
  • 会計学
  • 工業簿記 
  • 原価計算

となっています。

商業簿記・工業簿記は2級でも実施されていますが、さらなる1歩進んだレベルが求められます。

 

会計学は商業・工業簿記から一歩進んだ、大企業の会計処理で必要となる知識に関する科目です。

原価計算はその名の通り、製品の原価に関する科目で、原価を算出するために必要な知識を問われます。

 

キャッシュフロー計算書を理解する必要がある、会計基準、事業会社などの企業の会計に関連する法令に通じていなければならないなど、きわめて高度な内容です。

取得するメリット

簿記1級は資格の中でも知名度が高く、ビジネスパーソンからは難関資格として認知されています。

簿記・会計への高度な知識と理解が求められる試験なので、取得者は「会計のスペシャリスト」と称されるほどです。

 

経理や財務といった業務に就職・転職を考える場合、履歴書に書ければ大きなアドバンテージとなるでしょう。

客観的な基準をもって、簿記や会計に対する深い知識があるとアピールできます。

転職をしなかったとしても、経営企画や財務といった部署異動を望む場合や、ポジションアップを狙うとき、簿記1級という資格は役立ちます。

 

また、2023年度からは税理士試験「簿記論」の免除資格としても認められました。

税理士や公認会計士といったさらなるエキスパートを目指すならば、簿記1級は大きな助けになるでしょう。

 

ゆくゆくは独立起業を視野に入れている人もいるかもしれません。

簿記1級レベルの知識は、自らの経営判断をサポートしてくれます。

こちらも魅力のひとつと言えるでしょう。

 

相応の努力は必要となりますが、メリットの大きい資格であるといえます。

 

日商簿記1級のメリットや就職先についてはこちらの記事でもご紹介しています。

日商簿記1級は就職に有利なのか?メリットや就職先についても紹介

簿記1級の難易度 勉強時間編

続いて簿記1級の難易度について、勉強時間という面から考えていきます。

簿記1級合格に必要な勉強時間の目安

簿記1級合格に必要な勉強時間は、600時間がひとつの目安です。

ただし、簿記1級の試験は簿記3級・2級の範囲が身についていることが前提となります。

したがって、簿記に関してまったくの未経験である場合、2級までの範囲も勉強する必要があるため、より長い勉強時間が必要です。

 

なお、合格に必要な勉強時間はあくまで目安であり、実際はより多くの勉強時間をこなす受験者も多くいます。

 

また不合格となり再受験をするのであれば、その分さらに勉強時間が長くなるでしょう。

簿記1級合格までの勉強期間

簿記1級の勉強を始めてから合格までに要する期間、すなわち勉強期間の目安は半年から1年程度です。

ただし、合格までの勉強期間は、1日に確保できる勉強時間やライフスタイルによって変わります。

 

働きながら簿記1級の勉強をする場合、平日に確保できる勉強時間は1〜2時間程度になるでしょう。

トータルで600時間を超える勉強時間を確保するため、1年は勉強を続ける必要があります。

休日にまとめて勉強する場合も同様に、1年間は勉強を続ける前提でスケジュールを立てるのが理想です。

 

一方で勉強に専念できる環境の場合、勉強を始めてから半年で合格できる可能性もあります。

働きながらでも、定時で退社できる・勤務先が資格取得に向けた勉強に理解があるといった場合は勉強に集中しやすいです。

逆にライフスタイルによっては、1年以上の勉強期間を要するケースも有り得ます。

 

簿記1級合格までの勉強期間は半年から1年、場合によってはさらに長くなるといえるでしょう。

簿記1級の勉強方法による違い

簿記1級の合格までに必要な勉強時間・勉強期間は、勉強方法によっても大きく異なります。

独学で勉強するか・専門学校に通うか、自分のライフスタイルに合わせて考える必要があるでしょう。

 

効率的かつ確実に勉強できるのは、専門学校に通う方です。

専門学校はスケジュールが決められており、やるべきことが明確なため勉強しやすい環境といえます。

わからない部分を講師に質問できる・自身で教材を用意する必要がない点も、大きなメリットです。

 

一方で、専門学校はスケジュールが決まっているからこそ、自分のペースでは勉強しにくい・仕事等のスケジュールが不規則な人には適していません。

自分のペースで勉強したい人の場合は、独学が合っています。

 

ただし、独学の場合は勉強する内容を自分で決める・不明点を自分で調べて解決する必要があるなどの懸念点が存在します。

専門学校を利用するよりも勉強時間が長くなりがちな点を考慮しておく必要があるでしょう。

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簿記1級の難易度がこれほどまでに高い理由

簿記1級の難易度がこれほどまでに高い理由として、以下の3点が挙げられます。

 

  • 試験範囲が広い
  • 問題の難易度が高いため深い理解が求められる
  • 時間配分の重要性も高い

 

それぞれ詳しく解説します。

試験範囲が広い

簿記1級の難易度が高くなる理由のひとつが試験範囲の広さです。

 

簿記1級と2級の試験範囲は以下のように異なります。

 

  • 簿記1級の範囲:商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目
  • 簿記2級の範囲:商業簿記・工業簿記(原価計算含む)

 

簿記1級は会計学が加わる上、原価計算も独立したひとつの科目になります。

また、2級までの範囲を完全に理解している前提となるため、実際は3〜2級までの範囲+1級で追加された範囲という、かなり広い範囲を網羅する必要があるのです。

 

簿記1級の難易度についてはこちらもご覧ください。

簿記一級やめとけと言われるのはなぜ?取ってよかったという意見も紹介

 

 

問題の難易度が高いため深い理解が求められる

簿記1級は試験の範囲が広いだけでなく、問題の難易度も非常に高いです。

簿記1級に合格するためには、単に試験範囲を一通りなぞるだけでは足りず、深い理解も求められます。

 

商工会議所は簿記1級・簿記2級のレベルをそれぞれ以下のように表現しています。

 

簿記1級

 

  • 極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算
  • 企業会計に関する法規を踏まえ、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル
  • 公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門である

 

簿記2級

 

  • 経営管理に役立つ知識
  • 高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得
  • 企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル

 

簿記1級は試験範囲が広い上に求められるレベルも高いため、結果として難易度がかなり高くなるのです。

時間配分の重要性も高い

簿記1級は時間配分の重要性も高い試験です。

 

簿記1級は問題の数が多い上にひとつひとつの問題が難しいため、時間的な余裕が小さくなります。

ひとつの問題に時間をかけすぎると時間が足りなくなり、解ける難易度の問題が空欄になってしまう事態も起こり得ます。

その上試験の本番は緊張状態であるため、適切な時間配分ができない恐れが大きいです。

 

試験そのものの難易度だけでなく、時間配分の重要性も合格を難しくする要因のひとつです。

簿記1級の難易度を突破するためのポイント

簿記1級の難易度を突破するためのポイントとして、以下の3点が挙げられます。

 

  • 計画的に勉強を進める
  • 頻出分野・正答率の高い分野を優先する
  • 問題練習の時間を多くとる

 

それぞれ詳しく解説します。

計画的に勉強を進める

簿記1級のように出題範囲が広く難易度の高い試験は、計画的な勉強が重要です。

やみくもに勉強を勧めるのではなく、試験日から逆算してスケジュールを立てて勉強しましょう。

 

計画せずに勉強を進めてしまうと、範囲の取りこぼしや時間が足りなくなるといった事態が起こりやすくなります。

先の見通しがしにくいため、モチベーションが維持できない恐れも大きいです。

仕事やプライベートと勉強の両立も難しくなるでしょう。

 

簿記1級は長期戦であり、半年から1年という期間にわたって継続的な勉強が必要です。

長期間の勉強をしっかりこなせるよう、スケジュールを立てた上で勉強を進める必要があります。

 

 

頻出分野・正答率の高い分野を優先する

簿記1級の難易度を突破するためには、全範囲をバランス良く仕上げるのではなく、頻出分野や正答率の高い分野を優先することが大切です。

 

前述したように簿記1級は実質的には相対評価の試験であり、上位10%前後の受験者が合格するよう調整されます。

すなわち、上位層を含む多くの受験者が解答できるような、正答率が高い問題が優先的に配点対象となる傾向です。

一方で奇問・難問のように正答率が低い問題は、そもそも配点対象になりにくく、解答しても点数につながらない恐れがあります。

 

以上の理由から、簿記1級では難易度が高く正答率が低い部分については優先度が低めです。

全範囲をバランス良く仕上げる・完璧に解けるようにする必要はありません。

 

頻出分野や正答率の高い分野のように、配点の可能性が高い部分を優先的に仕上げましょう。

問題練習の時間を多くとる

簿記1級に合格するためには、問題演習の時間を多くとることも大切です。

特に、予想問題や過去問の時間を多めに確保しましょう。

 

簿記1級は試験範囲が広く問題数が多いため、合格のためには時間配分も重要となります。

また、前述したように頻出問題や正答率の高い問題を優先し、難問は捨てるという判断も必要です。

適切な時間配分や捨てるべき問題の判断をするためには、どうしても経験が必要になります。

 

試験形式に慣れ、簿記1級ならではのコツをつかむためにも、問題演習の時間を多くとりましょう。

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まとめ

簿記1級は、2級までに比べて非常に難易度が高い試験です。

合格率は10%前後と低く、合格に必要な勉強時間は600時間がひとつの目安となります。

 

単に試験範囲をこなして理解を深めるだけでなく、適切な時間配分を行う・難問は捨てるといった判断も重要となります。

 

簿記1級の難易度を突破するためには、簿記1級の試験に対する理解を深めた上で、合格に向けたポイントを押さえることが大切です。

今回紹介した内容を押さえ、効率的かつ確実な勉強を進めましょう。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
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