転職お役立ち情報
社労士資格は国家資格のひとつであり、人事労務分野のスペシャリストです。
転職を有利にするために、社労士資格を取得したいと考える人もいるでしょう。
今回は社労士資格が転職に役立つかを詳しく解説します。
そもそも社労士とは?その資格について紹介
社労士資格が転職に役立つかを考える前に、まずは社労士・社労士資格の概要について解説します。
社労士の概要
社労士とは、社会保険労務士の通称で、人材に関する専門家です。
社会保険や労働問題などの人事労務分野に精通しています。
社労士として働けるのは、社労士試験に合格し、実務経験を積んで資格を取得した人のみです。
すなわち、人事労務の知識があるだけでは社労士になることはできません。
社労士登録をしていない人が社労士を名乗る行為や、社労士の独占業務を行うことは法律で禁止されています。
社労士の仕事内容
社労士の仕事を一言で表すと、人事労務関連の書類作成・手続き代行・コンサルティングです。
社会保険や労働問題に関する幅広い業務を行います。
社労士の業務は、大きく1号業務から3号業務の3つに分けられます。
それぞれの主な業務内容は以下のとおりです。
- 1号業務……申請書類等の作成、申請書類の提出等手続き代行、事務代理、紛争解決手続代理業務
※紛争解決手続代理業務は特定社会保険労務士のみ対応できる業務です - 2号業務……就業規則・労働者名簿・賃金台帳など労働基準法で定められた帳簿書類の作成
- 3号業務……人事労務に関する相談・コンサルティング
このうち、1号業務と2号業務は社労士の独占業務です。
社労士資格とは?
社労士資格とは、社会保険労務士法に基づく国家資格です。
社労士を名乗る・社労士業務を行うことができるのは、社労士資格を保有し社労士登録をした人のみとなります。
社労士資格を取得するまでの大まかな流れは、以下の通りです。
- 社労士試験に合格する社労士試験は毎年8月下旬に試験実施、10~11月に合格発表。試験はマークシート方式
- 社労士登録の要件を満たす:社労士登録をするためには試験合格だけでなく、2年以上の実務経験または事務指定講習の修了が必要
- 全国社会保険労務士会連合会に登録・社会保険労務士会に入会
なお、社労士試験を受けるためには、学歴・実務経験・厚生労働大臣の認めた国家試験合格いずれかの受験資格を満たす必要があります。
社労士資格の合格率・必要な勉強時間
社労士試験の合格率は平均で6〜7%程度です。過去5年の合格率をまとめました。
年度(回数) |
合格率 |
令和4年度(第54回) |
5.3% |
令和3年度(第53回) |
7.9% |
令和2年度(第52回) |
6.4% |
令和元年度(第51回) |
6.6% |
平成30年度(第50回) |
6.3% |
試験合格までに必要な勉強時間は、最低でも500時間、目安は800〜1,000時間といわれています。
社労士試験は合格率が低く必要な勉強時間が多いことから、難関資格のひとつといえるでしょう。
社労士の主な転職先
社労士の主な転職先として、以下の3つが挙げられます。
- 社労士事務所
- 会計事務所
- 一般企業の人事労務関係
それぞれの特徴や仕事内容について詳しく解説します。
社労士事務所
社労士の勤務先として、もっともイメージが強いのではないでしょうか。
社労士事務所では、クライアントの人事労務に関する幅広い業務を行います。
事務所によって多少の違いはありますが、基本的には「社労士の仕事内容」で紹介した仕事内容の全般を扱うといえるでしょう。
会計事務所
会計事務所が専門とする会計・税務分野と、社労士が専門とする人事労務は密接な関係にあります。
書類作成や事務代理などは社労士の独占業務であるため、通常は会計事務所で対応ができません。
しかし、会計事務所に社労士がいれば、会計事務所内で会計・税務・人事労務の全範囲を一括で引き受けられます。
そのため、社労士を求める会計事務所は多く、実際に会計事務所で活躍する社労士も多くいます。
一般企業の人事労務関係
社労士が一般企業に勤める場合、自社の人事労務担当として業務を行うのが一般的です。
社員の相談に乗る・人事労務に関する研修を行うなど、一般企業ならではの業務もみられます。
社労士資格は転職に有利?取得するメリットとは
社労士資格は、転職活動で有利に働く資格のひとつといえるでしょう。
社労士資格を取得する大きなメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 実務に活かせる知識が身につく
- 人事労務の知識・スキルは幅広い場面で役立つ
- ダブルライセンスをとりやすい
それぞれ詳しく解説します。
実務に活かせる知識が身につく
社労士試験で問われる内容は、社労士として活動するために必要なものです。
すなわち、社労士試験に向けた勉強を通じて、実務に活かせる知識が身につくと期待できます。
人事労務関連の仕事では、法律に関する知識が必要な場面も多いです。
しかし、これらの知識を実務経験だけで得るのは難しく、どうしても座学での勉強も必要となります。
社労士資格の取得を目指して勉強を進めれば、自然と実務に活かせる知識を身につけられます。
人事労務の知識・スキルは幅広い場面で役立つ
人事労務は従業員を雇うすべての企業に関係する分野です。
そのため、社労士が有する人事労務の知識・スキルは幅広い場面で役立つといえます。
人事労務の知識・スキルが幅広い場面で役立つとは、人事労務の知識が必要とされる場面が多いとも言い換えられます。
すなわち、人事労務の高度な知識を有する社労士は、非常に高い需要を持つ存在です。
需要が高いために、転職先候補もスムーズに見つけられると期待できます。
ダブルライセンスをとりやすい
社労士は、ダブルライセンスをとりやすい資格です。
以下のように、社労士と相性の良い資格は多く存在します。
- ファイナンシャルプランナー:個人のお金に関するプロフェッショナルです
- 行政書士:官公署に提出する書類作成や手続きの代行などを行います
- 税理士:税務の専門家であり、税務代行・税務相談・書類作成など幅広く対応します
- 中小企業診断士:中小企業の経営コンサルティングといった業務が可能です
- 司法書士:法務局に提出する書類作成や、登記手続き代行などを行います
たとえば、社労士と税理士のダブルライセンスをとれば、税務と労務の両方を一括して引き受けられます。
また、行政書士はさまざまな手続きのスペシャリストであるため、社労士とのダブルライセンスによって業務の幅が大きく広がります。
幅広い面で活躍したい・理想とする働き方があるといった人には、ダブルライセンスを取りやすい社労士資格が非常におすすめです。
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社労士の転職を成功させるためのポイント
社労士の転職を成功させるためのポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- 自分に合う転職先であるか検討する
- 実務経験もアピールする
- 社労士資格という肩書きに頼りすぎない
それぞれ詳しく解説します。
自分に合う転職先であるか検討する
転職成功のためには、自分に合う転職先を選ぶことが大切です。
前章で社労士の転職先を3つ紹介しましたが、いずれも異なる特徴を有します。
社労士として顧問先を有したいと考える場合、幅広いクライアントの人事労務のみ対応する会計事務所や自社の業務のみ行う一般企業は適しません。
その上、勤務先によってもさまざまな違いがあります。
勤務先の規模・主な仕事内容・強みとする分野などによって、働き方は大きく変わります。
たとえ転職活動が完了しても、自分に合わない転職先である・転職によってかえって悩みが増えたなどの場合、転職成功とはいえません。
そして、事前に転職先へ求める要素を明確にしなければ、そもそも自分に合う転職先か判断できないでしょう。
転職先に求める要素を洗い出し、その上で自身に合う転職先を選ぶ必要があります。
実務経験もアピールする
社労士としての転職活動を成功させるため、資格保有の事実だけでなく実務経験もアピールしましょう。
社労士業務は社労士資格がなければ実施できないため、資格を有している時点で評価されやすいのは事実です。
しかし、人事労務分野の実務経験が乏しければ、たとえ社労士資格を有していても即戦力とはなり得ません。
資格の有無ではなく、実務経験を重視する企業・事務所も多くみられます。
社労士の転職活動では、人事労務分野の実務経験もアピールするのが理想です。
社労士資格という肩書きに頼りすぎない
転職を成功させるためには、社労士資格を保有していること・社労士という肩書きに頼りすぎないことが大切です。
これまで紹介したように、社労士資格の保有が転職活動に有利なのは事実です。
しかし、社労士資格があれば無条件で転職できるわけではありません。
どれほど難関資格や有利な資格を持っていても、それ以外の要素がマイナスと判断されてしまえばスムーズな転職活動にはならないでしょう。
また、社労士資格を有する上に別の魅力も有する転職者がいれば、より多くの魅力を持つ人が評価されるのも当然です。
転職では、能力・人柄・適性・経歴など、さまざまな面から総合的に判断されます。
社労士資格があれば転職が成功すると思い込みをせず、それ以外の自己アピールもしっかり行いましょう。
まとめ
社労士は、人事労務分野に精通した専門家です。
活躍の場面が多く需要も高いため、社労士資格の取得は転職活動で有利に働くといえます。
社労士試験に向けた勉強を進めることで、実務に必要な知識が自然と身につく点もメリットです。
社労士の転職を成功させるためには、転職先に求める要素を明確にした上で、自分に合う転職先を選ぶ必要があります。
人事労務に関する実務経験もアピールできるのが理想です。
また、社労士資格という肩書に頼りすぎず、それ以外の自己アピールをするための準備も欠かせません。
社労士の転職についてポイントを押さえ、理想的な転職活動を実現しましょう。
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