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税務大学校とは国家公務員である税務職員を対象とした研修機関です。
名称に「大学校」と入っていますが、一般的に大学校と呼ばれる施設とはさまざまな違いがあります。
今回は税務大学校について詳しく解説します。
税務大学校とは?その概要について
まずは、税務大学校の概要を解説します。
税務職員の研修機関
税務大学校とは、国家公務員として採用された税務職員を対象とした国税庁の研修機関です。
税務関連の学識が高い大学教授や、豊富な経験を有する国税庁内の職員などが教育官を務めています。
大前提として、国税庁の職員研修は以下を柱として組み立てられています。
- 税務大学校における集合研修
- 管理者や指導担当者から個別職員に対して、日常の業務を通じて実施される個別指導(OJT)
- 職場における集団的研修
税務職員には実務に直結する実践的な知識・経験はもちろん、税務の高度な専門知識も必要です。
そのため、職場以外にも入念な研修を実施できる機関として、税務大学校のような施設が求められます。
税務大学校の種類・場所
税務大学校は埼玉県和光市の本校(和光校舎)のほか、全国に計12の地方研修所があります。
地方研修所の場所は以下の通りです。
札幌研修所 | 北海道札幌市 |
仙台研修所 | 宮城県仙台市 |
関東信越研修所 | 埼玉県和光市 |
東京研修所 | 千葉県船橋市 |
金沢研修所 | 石川県金沢市 |
名古屋研修所 | 愛知県名古屋市東区 |
大阪研修所 | 大阪府枚方市 |
広島研修所 | 広島県広島市 |
高松研修所 | 香川県高松市 |
福岡研修所 | 福岡県福岡市博多区 |
熊本研修所 | 熊本県熊本市東区 |
沖縄研修支所 | 沖縄県浦添市 |
税務大学校で実施されていること
税務大学校では以下のように、税務に関するさまざまな活動を行なっています。
研修 | 税務職員の育成を目的とした研修です |
研究活動 | 税務大学校研究部において、租税および税務会計に関する研究を行なっております。論文等を収録した論叢やジャーナルを発行しています |
共同研究 | 外部との共同研究も活動の一環です |
租税史料の所蔵 | 日本の税に関する歴史的資料の所蔵施設(租税史料室)を運営しています |
国際協力 | 開発途上国の税務職員を対象としたセミナーやジア諸国の税務職員を対象とした研修など、活動内容はさまざまです |
税務大学校は税務職員の研修をメインとした施設ですが、そのほかにも税に関する研究や資料所蔵などさまざまな役割を果たします。
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税務大学校での勉強内容
税務大学校の研修は、長期研修・短期研修・通信研修の3種類に分けられ、それぞれ以下の違いがあります。
- 長期研修:税務職員に必要な能力および資質の全般的な向上を目的とする/期間は数か月程度
- 短期研修:専門的な業務のために直接必要となる知識の習得を目的とする
- 通信研修:特定の科目の知識習得や語学能力の養成を目的とする
このうち、メインとなるのが長期研修です。
長期研修はさらに14種類に分かれており、それぞれ目的や対象者が異なります。
この章では、税務大学校で実施される研修の内容について対象者別に紹介します。
新規採用者向け
新規採用者向けの研修は3種類です。
1つ目は普通科と呼ばれる研修で、税務職員採用試験等に合格した採用者を対象としています。
全寮制での実施で研修期間は1年と、長期研修の中でも特に長い期間です。
税務職員に必要な知識・技能だけでなく、社会人や公務員としての基礎的な事項の習得も目的とされています。
2つ目の専門官基礎研修は、国税専門官採用試験に合格した新規採用者を対象としたものです。
普通科と同じく、社会人としての良識・公務員としての自覚・税務職員に必要な知識経験の習得を目的としています。
研修期間は3ヶ月と普通科の研修より短く設定されています。
なお、専門官基礎研修を修了した職員は、その後2ヶ月間の専攻税法研修を受ける必要もあります。
3つ目の社会人基礎研修は、国税庁経験者採用試験に合格した採用者を対象とした研修です。
公務員としての自覚や税務職員に必要な知識技能の習得に加え、徴収事務に関する内容の習得も目的としています。
専門官基礎研修と同様に研修期間は3ヶ月です。
3年以上の実務経験のある職員向け
3年以上の実務経験のある職員向けの研修としては、以下の2つが挙げられます。
1つ目の中等科は、普通科卒業後に3年の実務経験を積んだ人を対象とした研修です。
中等科は調査や徴収事務に必要な知識等の習得を目的としています。
普通科の内容に比べ、より専門的な科目によって構成されています。
2つ目の専科は専門官基礎研修修了から3年の実務経験を積んだ人を対象とした研修です。
税務の専門的な知識・技能の習得に加え、広い視野や的確な判断力などを身につけさせることも目的としています。
採用から5年以上の職員向け
5年以上の実務経験のある職員向けの研修として、本科が挙げられます。
本科は、税務職員採用試験によって採用されてから5年以上17年未満の職員を対象とした研修です。
正確には、該当する職員すべてが受けるわけではなく、選抜試験によって選ばれた職員のみが対象となります。
本科はこれまで紹介した中でも、特に高度で専門的な内容を扱う研修です。
専門官職にふさわしい知識や技能の習得、税務の中核として活躍するために必要なスキルを身につけさせることを目的としています。
その他短期研修・専門的な内容の研修
これまでに取り上げていない研修について、それぞれの目的を簡単に紹介します。
国際科 | 国際税務の専門知識の習得 |
専攻科 | 審理等に関する専門知識の習得や応用能力の向上 |
研究科 | 研究活動を通じて専門的理論の習得 ※本科または専科の卒業生から選考された職員が対象 |
評価特別研修 | 不動産をはじめとした財産評価の職務遂行に必要な知識・技能の習得 |
酒税行政研修 | 酒税行政事務に関する知識や技能の習得、応用能力の向上 |
データ活用研修 | データ活動に要する高度な知識・技能の習得 |
税務理論研修 | 税務行政の企画立案への参画にふさわしい知識・能力の習得 |
税務大学校で勉強する方法
税務大学校では、税務に関する専門的な内容を広く扱います。
そんな税務大学校で勉強する方法について紹介します。
一般人を対象とした入学制度は無し
結論から申し上げると、税務大学校に一般人を対象とした入学制度はありません。
これまで紹介したように、税務大学校の研修はいずれも国家公務員として採用された税務職員を対象としています。
国家公務員としての税務職員採用試験が、税務大学校の入学試験としての性質も有するといえるでしょう。
国家公務員である税務職員以外が税務大学校で研修を受けることはできません。
なお、租税史料室の利用や共同研究への応募などは一般の人でも実施できます。
【参考】税務職員採用試験の概要
国税庁の採用試験は複数の種類がありますが、今回は税務職員採用試験の概要を紹介します。
<試験日程>
受験申込受付 | 6月中旬~6月下旬 |
第1次試験 | 9月上旬 |
第1次試験合格発表 | 10月上旬 |
第2次試験 | 10月中旬 |
第2次試験合格発表 | 11月中旬 |
<試験種目>
基礎能力試験 | (第1次試験) |
適性試験 | (第1次試験) |
作文試験 | (第1次試験) |
人物試験 | (第2次試験) |
身体検査 | (第2次試験) |
2022年度の税務職員採用試験区分別実施状況で公表されている受験者数と合格者数はそれぞれ以下の通りです。
<第1次試験>
受験者数 | 5,375人 |
合格者数 | 2,934人 |
<第2次試験>
受験者数 | 2,603人 |
合格者数 | 1,656人 |
(引用元|税務職員採用試験区分別実施状況 2022年度)
誰でも受講できる公開講座が有
税務大学校では、一般の人も受講できる公開講座を実施しています。
2022年11月の公開講座では以下のようなテーマが取り扱われました。
- 財産評価
- 酒税
- 生活用動産の譲渡益や学資貸与の債務免除益に対する所得税の課税有無
- 国税庁・税務大学校による国際支援
- 贈与税の対象となる財産
- 国際課税に関するグローバルネットワーク
税務大学校の講義に興味をお持ちであれば、公開講座の受講をおすすめします。
まとめ
税務大学校は国家公務員として採用された税務職員を対象に、税務を中心とした幅広い研修を行う機関です。
新規採用者には基礎的な内容、実務経験年数が一定を超える職員に対しては専門的な内容の研修を実施します。
税務に関する勉強をするには最適な機関とはいえ、一般人を対象とした入学制度はありません。
ただし税務大学校では、一般人でも受講できる公開講座を実施しています。
税務大学校での講座に興味をお持ちの人は、ぜひ公開講座の受講をご検討ください。
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