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不動産鑑定士は国家資格の1つであり、資格を得るためには試験に合格する必要があります。
不動産鑑定士試験は難易度が高く、合格までには年単位での勉強が必要です。
試験合格に向けて着実に勉強を進めるためには、必要な勉強時間の目安や、勉強のコツを押さえることが大切です。
今回は不動産鑑定士合格に必要な勉強時間や試験の難易度、勉強のコツなどを詳しく解説します。
不動産鑑定士に合格するために必要な勉強時間は?
不動産鑑定士試験の合格に必要な勉強時間として、大手専門予備校であるTACは2,000〜3,700時間をひとつの目安としています。
(参照元|資格の学校TAC公式サイト「不動産鑑定士試験合格に必要な勉強時間は?」)
2,000〜3,700時間は最終合格までに必要な勉強時間の目安です。
不動産鑑定士試験は短答式試験と論文式試験に分かれているため、それぞれの勉強時間の目安についても知っておく必要があります。
この章では、短答式試験と論文式試験それぞれの合格に必要な勉強時間を紹介します。
- 短答式試験の合格に必要な勉強時間
- 論文式試験の合格に必要な勉強時間
短答式試験の合格に必要な勉強時間
短答式試験の合格に必要な勉強時間は700〜1,000時間です。
(参照元|資格の学校TAC公式サイト「不動産鑑定士試験合格に必要な勉強時間は?」)
参考として、必要な勉強時間が同じぐらいの試験の例を紹介します。
- 中小企業診断士
- 行政書士
- 日商簿記検定1級
短答式1つに合格するために、ほかの難関資格と同じぐらいの勉強時間が必要となります。
なお、短答式試験の合格に必要な勉強時間は長いものの、論文式試験に比べると短いです。
短答式試験は択一式(マークシート方式)のため論文式試験に比べて勉強しやすく、慣れるまでの時間も短くて済みます。
論文式試験の合格に必要な勉強時間
論文式試験の合格に必要な勉強時間の目安は1,300〜3,000時間程度です。
(参照元|資格の学校TAC公式サイト「不動産鑑定士試験合格に必要な勉強時間は?」)
前項で紹介した短答式試験よりも勉強に時間がかかります。
論文式試験の方が必要な勉強時間が長い理由として以下の3つが挙げられます。
- 短答式試験よりも科目が多く勉強するべき内容が多いため
- 単純な暗記だけでなく深く理解する必要があるため
- 「答えを考えて書き起こす」という練習に時間がかかりやすいため
なお必要な勉強時間の目安に大きな幅がありますが、こちらは受験生のバックグラウンドによって受験科目が異なるためです。
たとえば公認会計士試験の合格者の場合、民法・経済学・会計学のうち受験した科目は免除されます。
このように人によって受験科目の数が異なるため、必要な勉強時間にも違いが生まれます。
不動産鑑定士とはそもそもどんな仕事?
この章では不動産鑑定士の概要を解説します。
不動産鑑定士とは
不動産鑑定士は国家資格のひとつで、土地を中心とした不動産の価値判定におけるプロフェッショナルです。
不動産の環境やさまざまな条件を考慮し、不動産の価格算定や適正な利用についての判断などを行います。
国土が有限である以上、土地の有効活用は非常に重要といえます。
土地を有効に活用するためには、土地の正しい価値判定および適正な利用についての判断が必要不可欠です。
不動産の価値は、エリアはもちろん、その不動産の状態、さらには不動産に関連する権利関係などにも左右されます。
同じ不動産であっても、時代や社会情勢によって需要の大きさが変わり、タイミングによって価値が異なるケースも珍しくありません。
不動産の価値はさまざまな要素によって決定されるため、簡単には算定できず、専門知識や豊富な経験が必要です。
不動産鑑定士は、土地をはじめとした不動産の有効活用をするために欠かせない存在といえます。
不動産鑑定士の主な仕事内容
不動産鑑定士の主な仕事として2つ挙げられます。
ひとつは不動産鑑定評価です。
こちらは不動産鑑定士の独占業務です。
不動産の状態や環境、社会情勢などのあらゆる要素を考慮した上で、不動産の経済価値を算定します。
自治体による地価公示や相続税標準地の鑑定評価、裁判上の評価などが不動産鑑定評価の例として挙げられます。
もうひとつの主な仕事は、不動産関連のコンサルティング業務です。
前述のように、不動産の有効活用のためには、単純な価値算定だけでなく適正利用についての判断も必要となります。
不動産鑑定士は不動産に関する豊富な知識や経験を活かし、不動産の有効活用や開発計画などの適切なアドバイスも行います。
不動産鑑定士の試験概要
不動産鑑定士の試験について概要を紹介します。
<試験日程>
願書受付期間 | 2月上旬~3月上旬 |
短答式試験 | 5月下旬 令和6年分は令和6年5月19日(日) |
短答式試験合格発表 | 6月下旬 令和6年分は令和6年6月26日(水) |
論文式試験 |
8月上旬(計3日間)令和6年分は令和6年8月3日(土)~5日(月) ※論文式試験を受けられるのは短答式試験の合格者のみ |
論文式試験合格発表 | 10月下旬 令和6年分は令和6年10月18日(金) |
<試験開催地>
短答式試験 | 北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県 |
論文式試験 | 東京都、大阪府、福岡県 |
<受験手数料>
電子申請の場合 | 12,800円 |
郵送申請の場合 | 13,000円 |
<合格基準>
短答式試験 | 総合点でおおむね7割程度 |
論文式試験 | 総合点でおおむね6割程度 |
※いずれも各科目ごとに一定の得点を必要とする(足切り制度)
試験日程や開催地は年によって異なる可能性があるため、必ず最新の情報をご確認ください。
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不動産鑑定士の難易度は?
不動産鑑定士の難易度を判断する要素として、合格率や必要な勉強時間の目安を紹介します。
過去6年分の合格率
不動産鑑定士試験の過去6年分の合格率は、短答式試験・論文式試験それぞれ以下の通りです。
<短答式試験>
試験年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
令和4年 | 1,726人 | 626人 | 36.3% |
令和3年 | 1,709人 | 621人 | 36.3% |
令和2年 | 1,415人 | 468人 | 33.1% |
令和元年 | 1,767人 | 573人 | 32.4% |
平成30年 | 1,751人 | 584人 | 33.4% |
平成29年 | 1,613人 | 524人 | 32.5% |
<論文式試験>
試験年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
令和4年 | 871人 | 143人 | 16.4% |
令和3年 | 809人 | 135人 | 16.7% |
令和2年 | 764人 | 135人 | 17.7% |
令和元年 | 810人 | 121人 | 14.9% |
平成30年 | 789人 | 117人 | 14.8% |
平成29年 | 733人 | 106人 | 14.5% |
参照元|国土交通省公式サイト「不動産鑑定士試験 試験結果情報」
短答式試験の合格率は32〜37%、論文式試験は14〜18%程度と、いずれも決して高くない数値となっています。
必要な勉強時間の目安
不動産鑑定士試験の合格に必要な勉強時間として、大手専門予備校であるTACは2,000〜3,700時間をひとつの目安としています。
(参照元|資格の学校TAC公式サイト「不動産鑑定士試験合格に必要な勉強時間は?」)
必要な勉強時間に幅がある理由は、大きく以下の2つです。
- 短期合格を目指す人と、長期的な勉強を前提とする人で、勉強プランに大きな違いがある
- 公認会計士試験や司法試験に合格しているなど科目免除を受けられる人は、必要な勉強量が少ないため勉強時間も短くなる
不動産鑑定士試験は短答式試験と論文式試験の2つによって構成されており、短答式試験に合格しなければ論文式試験を受けられません。
そして、短答式試験の合格は3年間有効となります。
論文式試験の対策にじっくり時間をかける前提の人・論文式試験に落ちてしまった人は、必然的にトータルの勉強時間が長くなります。
独学での合格は可能?
不動産鑑定士試験に独学で合格するのは、不可能とはいえないものの、非常に難しいと考えられます。
独学での合格が難しいと考えられる理由として、以下の3つが挙げられます。
- 合格率の低さから、試験の難易度が非常に高いことが伺える
- 試験の範囲が広い上に専門的な内容まで問われるため、一人で網羅するのは困難
- 論文式試験の対策において「この回答で点がもらえるかどうか」を自分では判断し辛い
不動産鑑定士の試験に向けた勉強は、専門学校を利用するのがおすすめです。
不動産鑑定士に合格するための勉強スケジュール例は?
不動産鑑定士の必要な勉強時間の目安は2,000〜3,700時間と紹介しました。
非常に多くの勉強量が必要なため、長期にわたって勉強を続けるのが大前提となります。
不動産鑑定士の勉強スケジュールは人によってさまざまですが、特に多くみられる・おすすめできるプランは以下の2つです。
- 勉強時間を1年とる場合
- 勉強時間を2年とる場合
それぞれ勉強スケジュール例を紹介します。
勉強時間を1年とる場合
勉強時間を1年間とする方法は、短期での合格を目指す人におすすめです。
5月に短答式試験を受け、同じ年の8月に論文式試験を受ける流れになります。
そのため短答式試験が終わる前の段階から、論文式試験に向けた勉強をする必要があります。
期間が短い分スケジュールがタイトになるため、1年間は勉強に専念できる環境を用意するのが理想です。
勉強時間を1年とる場合のポイント
- 講義を受ける場合、少なくても週3ペースで通う必要がある
- 土日や休日に勉強時間をしっかり確保する必要がある
- 平日もある程度の勉強時間を確保できるのが理想
勉強時間を2年とる場合
勉強時間を2年とる場合、まずは5月に短答式試験を受験、翌年の8月に論文式試験を受験する流れとなります。
短答式試験から論文式試験までの期間が長いため、短答式試験の後に論文式試験の勉強を始めても勉強時間を十分に確保できます。
また、時間に余裕があるためスケジュールの修正がしやすい点もメリットです。
ただし合格までにかかる期間が長い分、中だるみやモチベーション低下が起こる恐れがあります
勉強時間が長く余裕があるからこそ、しっかりとスケジュールを立てた上で日々コツコツと勉強を続けることが大切です。
勉強時間を2年とる場合のポイント
- 講義を受ける場合のペースは週1~2
- 時間に余裕があるからこそ日々コツコツ勉強を続けることが大切
- 中だるみやモチベーション低下に注意
不動産鑑定士の難易度を突破するためのポイント
不動産鑑定士の試験は難易度が高く、簡単に合格できるものではありません。
不動産鑑定士試験の高い難易度を突破するために最低限押さえたいポイントはなんでしょうか。
ここでは4点紹介します。
勉強時間を十分に確保する
前章で紹介したように、不動産鑑定士試験に合格するまでには最低でも2,000時間の勉強が必要です。
また試験範囲は非常に広く、専門的で難しい内容まで問われます。
必要な勉強量がかなり多いため、必然的に長い勉強時間が必要となります。
不動産鑑定士試験に臨むのであれば、勉強時間の十分な確保が必要不可欠です。
まとまった勉強時間を設けるだけでなく、スキマ時間も最大限活用しましょう。
短期間での合格を前提としない
不動産鑑定士試験は、短期間での合格を前提としないことをおすすめします。
短期合格を目指す・一発合格を目指すこと自体は問題ありません。
しかし前述のように、不動産鑑定士試験の合格率は非常に低く、一度で合格できない可能性が考えられます。
短期合格のみを目標としてしまうと、試験に落ちてしまったときにモチベーションが急激に下がってしまう恐れが大きいです。
二度目以降の試験を受ける気になれず、資格取得を諦めてしまうケースも考えられます。
短期合格を目指す場合でも、あくまで短期合格は目標のひとつとし、長期戦も視野に入れるのが良いでしょう。
足切り制度あり!全科目しっかり対策することが必要
不動産鑑定士試験は足切り制度があるため、得意科目を伸ばすための勉強だけでは危険です。
苦手科目についてもしっかり勉強・対策を行う必要があります。
不動産鑑定士試験の受験案内の中で、合格基準について「総合点のほかに各試験科目について一定の得点を必要とするものとします。」と明記されています。
すなわち総合点が合格基準を上回っていても、点数の低い科目があれば合格できない可能性があるのです。
不動産鑑定士試験に合格するためには、全科目まんべんなく対策する必要があります。
問題を繰り返し解く・理解を深めることが大切
不動産鑑定士試験に向けて、問題を繰り返し解いて理解を深めることが大切です。
不動産鑑定士試験は範囲が広い上に、専門的で難しい内容まで問われます。
前述のように足切り制度もあるため、すべての科目である程度の点数を獲得する必要があります。
事実として、付け焼刃の勉強や曖昧に理解しただけの状態では、合格の可能性はほとんど期待できません。
不動産鑑定士試験を突破するため、とにかく徹底的に勉強をして理解を深め、得点できる箇所を増やしましょう。
まとめ
不動産鑑定士は不動産の価値判定におけるプロであり、国土の狭い日本において高い需要を持つ存在です。
不動産の価値算定には高度な知識が必要なため、不動産鑑定士試験の難易度も非常に高くなっています。
合格までに必要な勉強時間は最低でも2,000時間、独学での合格は非常に厳しいといえるでしょう。
不動産鑑定士試験を突破するためには、十分な勉強時間や全科目の対策などが必要不可欠です。
また、不動産鑑定士そのものや試験概要についての理解も欠かせません。
今回紹介した内容を押さえた上で、試験に向けた十分な対策を実施しましょう。
Profile レックスアドバイザーズ
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