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司法修習とは法律で定められた法曹教育制度です。
弁護士や検事といった法曹三者になるためには、司法試験の合格後に司法修習を受ける必要があります。
本記事では司法修習の概要や特徴について詳しく解説します。
司法修習とは
はじめに、司法修習の概要を紹介します。
法律で定められた法曹教育制度
司法修習とは、法律で定められた法曹教育制度です。
司法試験の合格者は司法修習を修了することで、ようやく法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)になる資格を獲得します。
裁判官・検察官・弁護士はそれぞれ異なる立場ですが、司法修習は選択型実務修習を除いてすべて同じカリキュラムです。
法曹三者それぞれの立場からの事件の見方を学ぶことで、広い視野や客観性・法律家間の相互理解を深めるなどの目的があります。
司法修習の対象者
司法修習の対象者は司法試験に合格した者です。
なお、司法試験の合格者が自動的に翌期の司法修習生になるわけではありません。
司法修習生になるためには、司法修習生採用選考に申し込む必要があります。
司法修習の申込期間は司法試験の合格から1週間程度のため、早めの準備が必要です。
司法修習生採用選考の申し込みでは、最高裁判所と司法研修所に書類を提出する必要があります。
それぞれの必要書類は以下の通りです。
【最高裁判所】
- 司法修習生採用選考申込書
- 資格に係る申述書・資格の登録抹消証明書
- 提出書類確認票
- 司法試験合格証書のコピー
- 戸籍抄本または住民票の写し
- 法科大学院や大学等の成績証明書
【司法研修所】
- 実務修習希望地調査書
- 身上報告書
- 写真5枚
- 振込口座届出書
- 入寮を希望する場合、入寮許可願および返信用封筒
採用内定通知書または内定留保通知書は10月上旬頃に送付されます。
司法修習の場所
詳しくは次の章で解説しますが、司法修習は以下4つの修習によって構成されています。
- 導入修習
- 分野別実務修習
- 選択型実務修習
- 集合修習
また、修習期間の最後に司法修習生考試も実施されます。
このうち1の導入修習と4の集合研修を行う場所は、埼玉県和光市にある司法研修所です。
司法修習生の居住地や実務研修の場所に関係なく、全員同じ場所での修習となります。
実務修習は全国さまざまな場所で実施されます。
実務修習の場所は採用選考の申込時に希望を記載できますが、必ずしも希望地に配属されるとは限りません。
司法修習の期間
司法修習の期間は約1年です。
大まかなスケジュールを紹介します。
1.導入修習 | 約1ヶ月 |
2.分野別実務修習 |
合計約8ヶ月
|
3.選択型実務修習 または 集合研修 | 約2ヶ月 |
4.3で実施しなかった方の修習 | 約2ヶ月 |
5.司法修習生考試 |
※選択型実務修習と集合研修の順番は、実務修習地によって異なります
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司法修習の流れ
続いて司法修習の流れおよび各修習の解説をします。
導入修習
導入研修は埼玉県和光市の司法研修所で約1か月間実施される修習です。
法曹三者に必要となる実務の基礎知識や能力を身につけ、円滑な分野別実務修習を行うことを目的とします。
分野別実務修習
分野別実務研修では、実際の事件の取扱いについて体験的に学びます。
修習場所は全国各地の地方裁判所・地方検察庁・弁護士会といった法曹界における実務の第一線です。
豊富な経験を有する実務家による個別的指導が行われ、修習も個別修習が中心となります。
分野別実務修習は、民事裁判・刑事裁判・検察・弁護という4つの分野をそれぞれ2ヶ月ずつ行います。
修習で行う内容の具体例は以下の通りです。
裁判修習 |
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検察修習 |
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弁護修習 |
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選択型実務修習
選択型実務修習では司法修習生自身の進路や興味関心をもとに、主体的な選択が可能です。
修習プログラムは多様に提供されており、分野別実務修習で得た知識を深める・分野別実務修習で得られなかった体験をするといった成果が期待できます。
集合修習
集合修習は実務修習の体験を補完し、法律実務のスタンダードを身につけることを目的に行われます。
集合修習で行われる科目は以下の5つです。
- 民事裁判
- 刑事裁判
- 検察
- 民事弁護
- 刑事弁護
集合修習では起案を中心とした指導が行われます。
起案は教官による添削や講評のほか、司法修習生による相互討論の素材としても用いられます。
司法修習生考試(通称:二回試験)
司法修習期間の最後に司法修習生考試が実施されます。
司法修習生考試に合格しなければ法曹三者の登録資格を得られないため、司法試験に続く試験という意味で通称二回試験と呼ばれます。
二回試験は集合修習で扱われる科目と同じく、民事裁判・刑事裁判・検察・民事弁護・刑事弁護の5科目で、1日1科目、計5日間にわたって実施されます。
1科目7時間半という長時間の試験であるため、試験に向けた勉強・対策とともに十分な体調管理も必要です。
司法修習の特徴
最後に、司法修習の特徴を3つ紹介します。
期間中は裁判所から給与が支払われる
司法修習の期間中、裁判所から給付金が支払われます。
給付期間は1ヶ月単位で支給され、給付期間ごとの基本給付金は135,000円です。
通常修習期間の末日の属する給付期間や修習停止期間などを含む場合、日割りで計算した額が支給されます。
基本給付金の振込が行われるのは、司法修習生採用選考申込の際に司法研修所へ届け出る振込口座です。
また、司法修習のために物件を借り自身で家賃の支払いをしている場合、住居給付金の支給も受けられます。
住宅給付金は家賃の額等に関係なく、給付期間ごとに一律で35,000円です。
修習に伴い住所移転が必要と認められる場合は移転給付金の支給も行われます。
移転給付金の額は路程によって異なります。
住宅給付金および移転給付金の支給を受けるためには、期日までに届出が必要です。
なお、基本給付金および住居給付金は、所得税法上「雑所得」に該当します(移転給付金は対象外)。
雑所得の合計額が20万円を超えると確定申告が必要となります。
司法修習生はほぼ確実に確定申告が必要になるといえるでしょう。
修習によって実施場所が異なる
前述したように、司法修習は導入修習や実務修習など複数の修習によって構成されています。
修習の種類によって実施場所が異なるため、場所によっては生活拠点の確保や長距離移動を伴う通学、転居が必要です。
集合修習は修習生の居住地を問わず、埼玉県和光市にある司法研修所に全員を集めて行います。
司法修習生向けの寮「いずみ寮」が用意されていますが、全員が入居できるわけではないため、マンスリーマンション等への入居が必要なケースもあります。
実務研修の配属先は47都道府県にありますが、修習地の希望が通るとは限りません。
また、配属先が決まってから実務研修が開始されるまで期間があまりないため、余裕がない中で準備を進める必要もあります。
修習によって実施場所が異なるため、司法修習生は生活拠点の確保に労力を割く必要があります。
二回試験に合格しなければ法曹になれない
すでに触れたように、司法修習期間の最後に行われる二回試験に合格しなければ法曹になることができません。
試験は計5日間行われ、1日7時間を超える長時間であるため、十分な体調管理が必要となります。
1科目でも「不可」の評価があると不合格です。
二回試験には追試制度がないため、不合格の場合は翌年の試験を待つ必要があります。
なお、二回試験の合格率は毎年90%を超えており、100%に近い年もあります。
十分な勉強や対策が必須ではありますが、言い換えれば、万全の対策をすれば合格の可能性が非常に高い試験です。
二回試験に向けて準備を整えつつも、体調管理を徹底し、リラックスした状態で試験に臨みましょう。
まとめ
司法修習は司法試験に合格した人を対象とした研修であり、法曹三者の登録資格を得るために必要不可欠です。
法曹三者それぞれの立場からの事件の見方を学ぶことで、広い視野や客観性・法律家間の相互理解を深めるといった目的があります。
司法修習の期間は約1年間で、裁判官・検察官・弁護士それぞれの分野における知識や実務経験を積みます。
また、司法修習期間の最後に行われる二回試験に合格しなければ、法曹三者の登録ができません。
司法試験の合格後も学ぶべきことがたくさんあると押さえた上で、しっかり勉強を続けましょう。
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