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税理士試験は11科目あります。
11科目のうち必修2科目、選択必修1科目、その他選択2科目に合格する必要があります。
このうち選択科目には受験資格があるため、事前の確認が欠かせません。
今回は税理士試験の受験資格について解説します。
税理士試験の受験資格を見る前に:税理士試験の概要
受験資格について見る前に、まずは前提条件として税理士試験の概要を紹介します。
税理士試験のスケジュール
税理士試験は年に1回、毎年8月に実施されます。
年によって多少の違いはありますが、大まかなスケジュールは以下の通りです。
試験実施の官報公告 | 4月上旬 |
受験申込受付 | 5月中旬 合計10日間程度 |
試験実施 | 8月上旬の連続3日間 |
合格発表 | 11月末〜12月上旬 |
試験は計3日間にわたって行われます。
ひとつの時間にひとつの試験しか行われないため、同じ年に複数の科目を受験することは問題ありません。
細かなスケジュールは、毎年官報公告のタイミングで発表されます。
また、官報公告の数日後には受験案内や願書の取り寄せが可能になります。
この時期は国税庁公式サイトで公表される情報を小まめに確認し、書類取り寄せや準備などを早めに進めましょう。
税理士試験の試験科目
税理士試験は、科目合格制を採用している試験です。
税理士資格を取得するには、全11科目のうち必修2科目と選択3科目(うち選択必修1科目)に合格する必要があります。
必修科目は以下の通りです。
- 簿記論
- 財務諸表論
いずれも原則として、試験1日目に実施されます。
選択科目として、以下の中から3科目に合格する必要があります。
- 法人税法
- 所得税法
- 相続税法
- 消費税法
- 酒税法
- 住民税
- 事業税
- 国税徴収法
- 固定資産税
このうち法人税法と所得税法は、どちらか必ず受験する必要のある選択必修科目です(両方の科目を受験・取得することは問題ありません)。
また、消費税法と酒税法、住民税と事業税は、どちらか一方しか受験できないためご注意ください。
税理士試験の出願に必要な書類
税理士試験の受験申込に必要な書類は以下の通りです。
- 税理士試験受験願書
- 税理士試験受験申込書
- 受験資格を証明する書類
※受験申込時に用いる受験資格によって必要な書類が異なります。 - 受験票・写真票
- 受験手数料相当分の収入印紙
※所定の箇所に収入印紙を貼り付けて提出します。手数料は受験する科目数によって異なるためご注意ください。
書類ごとに記載方法や様式に細かな規定があります。
書類に不備があると訂正が必要となり、場合によっては受験が認められない恐れもあるため注意が必要です。
なお、今回紹介した情報は、第73回税理士試験の募集要項で案内されている内容に基づきます。
受験する年によって必要書類が異なる可能性があるため、必ず最新の案内をご確認ください。
「税理士・税理士試験科目合格者限定」
履歴書・職務経歴書
個別添削サービス
税理士試験の受験資格
前章で紹介したように、税理士資格を取得するためには必修2科目と選択3科目(うち選択必修1科目)に合格する必要があります。
このうち必修2科目には受験資格の制限がなく、誰でも受験可能です。
一方で選択科目を受けるためには、受験資格のうち最低1つの要件を満たす必要があります。
この章では税理士試験の受験資格について詳しく解説します。
学識による受験資格
学識による受験資格に該当するのは、以下の5つです。
- 大学・短大・高等専門学校(高専)いずれかを卒業した者で、社会科学科目を1科目以上履修している
- 大学3年次以上で62科目以上を取得しており、かつ社会科学科目を1科目以上取得している
- 特定の要件を満たす専修学校の専門課程を修了しており、社会科学科目を1科目以上履修している
- 司法試験に合格している
- 公認会計士試験の短答式試験に合格している
社会科学系の科目として、法学・憲法・民法・商法といった法律学に属する科目や経済学・経営学・経済政策・会計学といった経済学に属する科目が挙げられます。
具体的な科目名や種類は、国税庁の公式サイトからご確認ください。
すでに卒業している場合、上記の科目を1科目でも履修していれば受験可能です。
大学に在学中の場合、3年次以上かつ単位の取得数という2つの要件を満たす必要があります。
資格による受験資格
以下いずれかの資格を有している場合、税理士試験の受験が可能です。
- 日商簿記検定1級
- 全経簿記検定上級
- 会計士補
- 会計士補となる資格
職歴による受験資格
以下いずれかの業務に通算2年以上従事していた経験があれば、受験資格が認められます。
- 法人または個人事業主の会計事務
- 公認会計士・税理士・弁護士等の補佐
- 税務官公署における事務
- その他官公署における国税もしくは地方税に関する事務
- 社会保険労務士・司法書士・弁理士・行政書士・不動産鑑定士の業務
- 府・省・委員会・庁など、行政機関における会計検査等の事務
- 銀行等における貸付関連の事務
職歴による受験資格を有する場合、受験資格を証明する書類として職歴証明書が必要です。
必要事項を漏れなく記載する他、勤務先の代表者や人事担当者による署名押印も必要であるため、早めに準備を進めましょう。
その他の受験資格
これまで紹介した受験資格を有していなくても、国税審議会より個別認定を受けた場合は税理士試験の受験が可能です。
これまでに個別認定が行われた事例を紹介します。
- 外国の大学を卒業しており、社会科学に属する科目を取得している
- 商工会等での記帳・決算事務などの指導経験を2年以上有する
個別認定により受験資格を取得するためには、受験申込期間よりも前に国税審議会に申請を行う必要があります。
【参考】試験免除となる要件
税理士試験には、大学院における学位取得による試験免除の制度が存在します。
科目免除の要件は大きく以下の3つです。
【1.学位】
試験科目に関連する科目等の学位を持つ場合、該当の科目は免除されます
【2.資格】
弁護士または公認会計士の資格を持つ場合、全科目免除となります
【3.国税従事】
国税従事に関する科目免除要件は以下の通りです。
- 10年または15年以上税務署に勤務した国税従事者:税法系の科目免除
- 23年または28年以上税務署に勤務し、かつ、指定の研修を修了した国税従事者:会計2科目の免除
日本税理士連合会が公表した「第6回税理士実態調査報告書」によると、平成26年に試験免除制度を利用して税理士登録した者の割合は37.2%と大きな数値になっています。
試験免除の制度を活用するケースは、決して少なくありません。
税理士試験の受験資格がない場合はどうする?
最後に、現時点で税理士試験の受験資格がない人におすすめできる、比較的容易に受験資格を得られる方法を3つ紹介します。
受験資格を得られる職場・職種に転職する
職歴による受験資格を満たす方法です。
日々の業務そのものが税理士試験を満たすための活動につながるため、負担が増えすぎる心配がありません。
特におすすめできるのが会計事務所です。
会計事務所では、法人または個人事業主の会計事務と公認会計士・税理士の補佐という両方の経験を積むことができます。
税理士登録のために必要な実務経験を満たす上でも役立ちます。
日商簿記1級に合格する
資格による受験資格の中で、もっともおすすめできるのが日商簿記検定1級です。
日商簿記1級は知名度・人気ともに高く講座や教材が多いため、勉強しやすいといえます。
また、簿記論の出題範囲と被っている部分が多いため、税理士試験の勉強にも役立ちます。
ただし、日商簿記1級は非常に難易度の高い試験です。
働きながら合格を目指して勉強するのは容易ではありません。
日商簿記1級の取得を目指すのであれば、十分な勉強時間の確保と試験日から逆算してのスケジュール設定、そして自己管理が必要不可欠です。
放送大学等で必要科目の単位を取得する
放送大学で所定の単位を取得すれば、学識による受験資格が認められます。
放送大学の授業はインターネットでの配信が行われるため、時間や場所に関係なく受講が可能です。
転職や資格の勉強をせず、受験資格を得られる方法といえます。
カリキュラムや卒業要件などの詳細は、大学の公式サイトをご確認ください。
まとめ
税理士試験を受験するためには、受験資格を満たす必要があります。
受験資格にはさまざまな種類があり、ものによって必要書類や細かなルールが異なります。
税理士試験を受験するのであれば、受験資格に関する事前の確認と正しい理解が必要不可欠です。
もし税理士試験の受験資格を満たしていない場合、早めに受験資格を得るための手段を取る必要があります。
今回、比較的容易に受験資格を得られる方法を3つ紹介しました。
ご自身の生活スタイルや希望に合う方法を選んでください。
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