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公認会計士は日本における三大国家資格のひとつであり、日本の平均よりも遥かに高い年収水準です。
しかし、公認会計士は食えない資格だという意見も存在します。
今回は公認会計士は食えない資格という真偽を解説します。
公認会計士が食えない資格と言われる理由
はじめに、公認会計士が食えない資格と言われる理由を3つ紹介します。
過去に起きた就職難・リストラのイメージが根強い
「公認会計士は食えない」と言われる理由のひとつが、過去に起きた就職難・リストラのイメージが根強く残っていることです。
かつて「公認会計士の大量合格時代」と呼ばれる時代がありました。
公認会計士業界の人手不足が予測され、それを解消するために公認会計士を増やそうという施策をとった結果です。
2005年には合格者数が1,000人台であったのが、2006年から2008年の3年間は約3,000人~約4,000人とかなり合格者が出ました。
しかし2008年にアメリカで起きたリーマンショックを皮切りに、以下の事態が起こりました。
- 公認会計士のクライアントの激減
- 不景気による報酬の引き下げ
そして、2009年から2011年頃には公認会計士の就職率の悪化や、BIG4のような大手監査法人でのリストラが起こりました。
人手不足の解消を目的に大量の合格者を出したにも関わらず、不測の事態によって公認会計士業界の人手が余ってしまう状況になったのです。
公認会計士の大量合格時代と就職難・リストラの過去を知っている人には、今でも当時のイメージが根強く残っているケースが多くみられます。
このような過去が「公認会計士は食えない」という意見につながる理由のひとつです。
「AIに仕事を取られる」という噂・イメージ
「公認会計士はAIに仕事を取られる」という噂やイメージもあります。
公認会計士は会計のプロフェッショナルであり、数字を扱う場面が多いです。
データのチェックや入力など、専門知識が必要ながらも単純作業に該当する仕事も多くみられます。
そして、AIは数字を扱う業務や単純作業が得意といわれています。
このように、公認会計士の仕事にはAIの得意分野が含まれているのも事実です。
したがって、公認会計士の仕事は将来AIに奪われる、すなわち「公認会計士はいつか食えなくなる」という意見につながっています。
なお、公認会計士に限らず、会計・経理・税務関連は将来AIに代替されるという意見が目立ちます。
最初にこの意見が出たのは、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン氏と同大学の研究者による論文「Future of employment」です。
同論文の中ではAI化の進行による職業の変化について分析されています。
そして、論文中に記載されている「今後10〜20年程度でなくなる職業」の上位に、財務会計、単純記帳、公認会計士がランクインしているのです。
複雑な計算式や定量的分析を基にした結果であり、説得力とインパクトの強さから、世間に深く浸透した意見といえます。
合格者数が横ばい・数が増えている
公認会計士試験の直近5年間の合格者数は以下の通りです。
令和4年 |
1,456人 |
令和3年 |
1,360人 |
令和2年 |
1,335人 |
令和元年 |
1,337人 |
平成30年 |
1,305人 |
参照元|公認会計士・監査審査会「令和4年公認会計士試験合格者調」
公認会計士の数は毎年増え続けているといえるでしょう。
そのため、いずれ就職先が見つからなくなる・公認会計士の人手が余るという事態が起こると考える人もいます。
また「過去に起きた就職難・リストラのイメージが根強い」の項で紹介したように、公認会計士業界で就職難・リストラが大きな問題になった時代がありました。
加えて「公認会計士はAIに仕事を取られる」というイメージから、公認会計士の仕事が減るという懸念を持つ人もいます。
以上の理由から「今から公認会計士資格をとっても仕事が見つからない」、すなわち「公認会計士資格をとっても食えない」という意見もあるのです。
「公認会計士は食えない資格」ではない
前章で紹介したように、公認会計士が食えない資格と言われる理由は複数あります。
しかし、実際のところ「公認会計士=食えない資格」は誤りです。
「公認会計士は食えない資格」ではないといえる理由を3つ紹介します。
業務の幅が広い・需要が高い
「公認会計士は食えない」と言われる理由のひとつとして、AIに仕事を取られるという噂・イメージが存在すると紹介しました。
確かに、AIによって一部の業務が代替される可能性は存在します。
特にデータ収集・分析・入力などの単純作業は、AIによる自動化が進む可能性が高いでしょう。
しかし、公認会計士の主な業務である監査やコンサルティングには、人の手が必要不可欠です。
特に会計監査は公認会計士の独占業務であり、他の資格・職種の人による代替が起こり得ません。
AIによる完全な代替も、他の人による代替も不可能な以上、公認会計士の需要がなくなる将来は有り得ないでしょう。
また、公認会計士の業務の幅はどんどん広がっています。
高度な知識やスキルを活かし、税務・財務・IRなどの分野で活躍する会計士も多く存在します。
このように公認会計士は業務の幅が広く需要も高いため、仕事がなくなる可能性はほぼないといえる資格です。
高年収を得られる
最初に少し触れましたが、公認会計士の年収は日本の平均水準よりも遥かに高いです。
国税庁が調査・公表した令和3年度民間給与実態統計調査によると、給与所得者の平均給与は443万円でした。
そして、公認会計士の平均年収は20代でも600万円前後、40代以降になれば1,000万円以上です。
人によって実際の年収額に違いがあるとはいえ、年収水準が高いことは事実です。
これまで紹介したように、公認会計士は業務の幅が広く高い需要があり、AIによる完全な代替の恐れはありません。
そして年収水準の高さから、公認会計士は高年収を得られる仕事といえます。
したがって「公認会計士=食えない」は誤りといえるのです。
転職で有利・独立開業の道もある
公認会計士資格を保有していると、転職で有利になる可能性が非常に高いです。
前述したように、公認会計士は高い需要を誇ります。
公認会計士資格を持つ人を採用したいと考える企業は少なくありません。
監査法人やコンサルティングファームに限らず、一般事業会社への転職でも活かせるでしょう。
どこかの会社に勤めるのではなく、独立開業する道もあります。
独立開業をすることで、興味や強みのある分野に特化する・好きな働き方をするなどの理想が実現しやすくなります。
このように、公認会計士は転職で有利な資格であり、その上独立開業の道も選べる資格です。
働く場所の選択肢が多いため、将来食えなくなる心配はないでしょう。
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公認会計士が年収アップを実現するためのコツ
「公認会計士は食えない」資格ではなく、むしろ高年収を得やすい・仕事を失う心配がない資格だと紹介しました。
その上で、公認会計士が年収アップを実現するために押さえたいコツを3つ紹介します。
知識を広げる・深める
1つは、勉強を続けて知識を広げる・深めることです。
公認会計士は会計のプロフェッショナルであり、様々な場面で知識を活かして活躍できます。
しかし、公認会計士が最低限保有している知識だけでなく、業界・業種ならではの知識やノウハウが必要な場面も起こり得ます。
公認会計士試験に合格した時点で勉強を辞めてしまえば、その先の知識が必要な場面では活躍できません。
言い換えると、試験合格後も勉強を続けて知識を広げ深めることで、活躍の場も広がるのです。
活躍の場が広がればそれだけ必要とされる場所が増え、仕事が増える・自分の需要が高まることになります。
結果として、さらなる年収アップにつながると期待できるのです。
高年収が期待できる職場に転職する
高年収が期待できる職場に転職するのもひとつの選択肢です。
公認会計士の年収水準は高めと紹介しましたが、実際の年収額は職場によって大きな違いがみられます。
例えば監査法人でも、BIG4と呼ばれる大手監査法人と中小監査法人では、同じ年代でも年収に200万円ほどの差が起こり得ます。
高度な知識やスキルを有していても、それを活かせない職場や年収の上限が低い職場では、平均を超えるような高年収は難しいでしょう。
ひとつの職場にこだわり過ぎず、転職を視野に入れることもおすすめします。
独立開業による年収アップの可能性も
企業や組織に勤めている場合、得られる年収にはどうしても限度があります。
まず、管理職になれる人は組織全体のうち数パーセントです。
このような狭き門を突破し管理職になれたとしても、圧倒的といえるほどの高年収に達するのは難しいでしょう。
一方、公認会計士として独立開業し成功すれば、平均を遥かに超える年収を得られる可能性もあります。
独立した公認会計士の平均年収自体が1,000万円以上であり、3,000万円以上の年収も有り得ます。
より高年収を得たい人は、独立開業を検討・選択するのも良いでしょう。
ただし、独立開業すれば必ず成功するとは限らず、失敗して年収が下がってしまう恐れもあります。
メリットだけでなくデメリットも押さえた上で、成功のために準備や努力を欠かさないことが大切です。
まとめ
「公認会計士は食えない」と言われる理由は、上記で解説した通り複数あります。
しかし、いずれもイメージや噂が先行している部分があり、正しいとは言えません。
確かに懸念点も存在しますが、公認会計士にはそれ以上に圧倒的な需要や強みがあります。
現在、そして将来も「公認会計士は食えない」という事態は起こらないでしょう。
「公認会計士は食えない」という意見を見聞きして不安に思った人も、安心して公認会計士試験に向けた勉強を続けてください。
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