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社会保険労務士試験の難易度はどれくらいでしょうか。
近年、注目の資格となっている社労士。
試験では人事労務分野の高度な知識が求められます。
試験の内容や合格率を通じて、社労士試験の難易度について解説します。
資格取得には、きちんと学習した上で準備・対策が必要です。
勉強のコツも併せてご紹介しましょう。
社会保険労務士試験の難易度を見る前に:試験概要
社会保険労務士試験の難易度を見る前に、まずは社労士と呼ばれる資格を取るための、試験概要を紹介します。
社会保険労務士(社労士)とは
社会保険労務士(社労士)とは、社会保険や労働関連法の専門家です。
医療費、年金、私たちの生活は福祉保障の支えが欠かせません。
仕事は、大きく以下の3つに分けられます。
- 1号業務……健康保険・雇用保険・厚生年金などに関する書類作成や手続きの代行
- 2号業務……労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成
(就業規則、労働者名簿、賃金台帳 など) - 3号業務:人事労務分野のコンサルティング
このうち1号業務と2号業務は社会労務士の独占業務です。
中小企業診断士、司法書士など、さまざまな資格がありますが、社会保険労務士は人事労務分野における唯一の国家資格です。
関連する法改正には常にアンテナを張り、専門知識を活かして幅広い業務を行うことができます。
独占業務を行えるという魅力も手伝い、ダブルライセンスとしても人気を集めています。
社会労務士試験の概要
それでは、社会労務士試験の概要を紹介していきましょう。
まず、受験申込受付の期間は4月中旬〜5月31日です。
試験の実施日程は毎年8月の第4日曜日。
合格発表はその年の10月上旬に行われます。
社会労務士試験の科目は以下の8つです。
- 労働基準法及び労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
試験形式は選択式試験と択一式試験の2種類があります。
配点については後述の「試験科目」で詳しく解説します。
受験手数料は15,000円で、払込手数料は受験者負担です。
最新の情報は公式ホームページでチェックしてください。
社会保険労務士試験の受験資格
試験申込みには受験資格を満たしている必要があります。
前提として自分が受験者となれるのか、チェックしておきましょう。
学歴
試験には学歴要件があります。
以下の5つです。
- 大学・短期大学・専門職大学・高等専門学校等を卒業
- 修得単位数の要件を満たしている(大学在学中に受験する場合)
- 一定の要件を満たす専門学校を卒業
- その他認定を受けている学校等を卒業または所定の課程を修了
- 個別の受験資格審査を受け、短期大学を卒業した者と同等の学力を有すると認定される
受験前に確認しておきましょう。
実務経験
また、実務経験でも受験可能となります。
通算で3年以上所定の業務に従事した経験があれば、実務経験における受験資格を満たすと認められます。
要件を満たす実務経験の具体例は以下の通りです。
- 労働社会保険法令の規定に基づいて設立された法人での実施事務
- 公務員または日本郵政公社の職員としての実務経験
- 全国健康保険協会または日本年金機構での社会保険諸法令の実施事務
- 社会保険労務士または弁護士の補助事務
- 労働組合における業務
- 法人の労務担当としての業務
- 労働社会保険諸法令に関する事務
受験資格の証明書類として、実務経験証明書の原本または写しの提出が必要です。
所定の試験合格歴
または、所定の試験合格者でも受験が可能です。
以下いずれかの試験に合格している場合、社会労務士試験の受験資格が認められます。
- 司法試験の予備試験
- 行政書士試験
- 公認会計士試験
- 税理士試験
- その他厚生労働大臣が認めた国家試験
厚生労働大臣が認めた国家試験は70種類以上あります。
詳しくはオフィシャルサイトの案内をご確認ください。
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社会保険労務士試験の難易度とは?:3つの基準
社会保険労務士試験の難易度は、どれくらいなのでしょうか。
3つの基準から考えてみます。
合格率
試験の難易度を考える基準として、まずは試験の合格率を紹介します。
過去5年分の社会保険労務士試験の合格率は以下の通りです。
年度 |
合格率(%) |
令和5年度(第55回) |
6.4 |
令和4年度(第54回) |
5.3 |
令和3年度(第53回) |
7.9 |
令和2年度(第52回) |
6.4 |
令和元年度(第51回) |
6.6 |
令和5年度の試験では、申し込みの時点では53,292人、合格者数は2,720人でした。
上記のように、合格率は6.4%です。
平均して5〜8%と、合格率は低いことがわかります。
社会労務士試験の合格ライン、そして試験の難易度は高いといえるでしょう。
勉強時間の目安
社会労務士試験の合格までに必要な勉強時間として、以下が目安といわれています。
- 独学の場合:1,000時間弱
- 専門学校に通う場合:800時間程度
市販の教材や、無料のサイトなどを活用する独学、専門学校のコースに通う場合、かかる時間は異なります。
他の勉強法としては通信講座を受講するといった方法もあります。
ただし、合格までに要する勉強時間のトータルは人によって大きく異なるので、あくまで目安に過ぎません。
その理由は、合格までの受験回数の違いが大きいためです。
社会労務士試験の一般的な平均受験回数は3〜4回です。
しかし、実際は1〜2回で合格する人と7〜8回で合格する人が二極化しています。
受験回数が多いほど、トータルでの勉強時間も長くなりがちです。
前述した勉強時間の目安は「これだけ勉強すれば合格する」という指標ではなく、あくまでも目安であり、最低限必要な勉強時間とイメージするのが良いでしょう。
このように多くの勉強時間が必要である点からも、社会労務士試験の難易度が高いといえます。
試験科目
試験科目は「社会労務士試験の概要」で既に触れていますが、改めて紹介します。
試験科目および問題数・配点は以下の通りです。
試験科目 |
選択式試験 問題数・配点 |
択一式試験 問題数・配点 |
労働基準法及び労働安全衛生法 |
1問 5点 |
10問 10点 |
労働者災害補償保険法 ※労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む |
1問 5点 |
10問 10点 |
雇用保険法 ※労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む |
1問 5点 |
10問 10点 |
労務管理その他の労働に関する一般常識 |
1問 5点 |
10問 10点 |
社会保険に関する一般常識 |
1問 5点 |
|
健康保険法 |
1問 5点 |
10問 10点 |
厚生年金保険法 |
1問 5点 |
10問 10点 |
国民年金法 |
1問 5点 |
10問 10点 |
合計 |
8問 40点 |
70問 70点 |
引用元|社会保険労務士試験オフィシャルサイト「社会保険労務士試験の概要」
合格基準点は選択式試験と択一式試験それぞれの総得点と、各科目ごとに定められています。
合格基準点に明確な決まりはありません。
その年の合格基準点は合格発表日に公表される仕組みです。
たとえ総合した得点が良くても、いずれかの成績が合格基準点に達していなければ不合格となります。
科目数が多い上に足切り制度も存在するため、どの科目もまんべんなく、しっかり勉強しなければなりません。
勉強するべき範囲が広く求められるレベルが高いことから、社会労務士試験の難易度は高いといえるでしょう。
【参考】他の資格との比較
参考として、他の国家資格の難易度と比較します。
資格名 |
合格率の目安 |
必要な勉強時間の目安 |
その他 |
行政書士 |
10%前後 |
800時間~1,000時間 |
科目毎の合格基準がない点から、社会労務士の方が難易度が高いと考えられる |
税理士 |
15~20% |
3,000~4,000時間 |
11科目のうち5科目に合格することで税理士登録の資格を得られる 5科目全ての合格までに最短でも2年は必要 科目合格は永年有効 |
司法試験 |
30%前後 |
約3,000時間 |
数字だけ見ると合格率は高めだが、受験資格を得るために予備試験に合格または法科大学院を修了する必要がある。 受験資格を得ること自体が難しいため、実際は合格率よりもかなり難易度が高いといえる |
資格によって試験の仕組みや出題範囲が異なるため一概にはいえません。
社会労務士試験は他の難関資格と並ぶような、時間を要する難易度の試験といえるでしょう。
社会労務士試験の難易度を突破するためのポイント
合格率・勉強時間の目安・試験科目、そして他の国家資格との比較をしてきました。
社会労務士試験の難易度は非常に高いとわかったと思います。
しかし、そのぶん取り組みがいがあるともいえるでしょう。
最後に、社会労務士試験の難易度を突破するために押さえたいポイントを5つ紹介します。
スケジュールを立てて計画的に勉強する
社会労務士試験は出題範囲が広い試験です。
これからチャレンジしようと思うならば、計画的に勉強しなければいけません。
本番まであと何ヶ月あるのか、自分の得意分野、苦手は何かを知り、対策が必要です。
最新の試験傾向や問題との相性なども把握していないと、本番で落ち着いて解答できません。
はじめて受験するならば尚更です。
考えなしにスタートしてしまうと、最悪の場合、試験日までに範囲が終わらないというケースも起こり得ます。
毎日こつこつと、膨大な試験範囲を効率的に進める必要があります。
また、必要な勉強時間の目安が800〜1,000時間という点からもわかるように、長期的な勉強が必要です。
独学の場合は自分なりにカリキュラムを組むことも大切です。
広い出題範囲を漏れなくこなし、膨大な量の問題を解き、長期にわたって継続的な勉強をしなければなりません。
スケジュールに基づいた計画的な勉強は、必要不可欠です。
スキマ時間を活用する
通勤電車や始業前、昼休みなど、勉強に充てられるスキマ時間は様々な場面にあります。
なるべく多くの勉強時間を確保するため、スキマ時間を活用しましょう。
短い時間でも、集中して勉強することが重要です。
このスキマ時間には何ページやる、と決めておくと、スムーズに始めることができます。
ただし、すべてのスキマ時間を勉強に充てるのではなく、リラックスや気分転換の時間を意識的に設けることも大切です。
どれだけ勉強できるかは個人差があります。
自分のペースをつかむことも、試験対策です。
暗記ではなく理解をする
社会労務士試験に向けた勉強では、とにかく頭に詰め込むような暗記ではなく、理解を深めることを優先しましょう。
法律や規則が存在する理由や解釈の仕方などを押さえることで、より頭に入りやすくなるためです。
確実に得点するには、何を問われているのか、データの根拠は何かといったことを理解することが大切です。
出題範囲が広く、覚えることが多いからこそ、丸暗記では太刀打ちできません。
問題演習・過去問演習を徹底する
テキストを使ったインプットに時間をかけすぎず、問題集などアウトプットの時間を比較的多めに確保するように心がけましょう。
問題演習・過去問演習を徹底することが合格への効率良い道筋です。
基礎のインプットも、とても大切です。
しかし、それだけでは十分な理解が難しく、定着率も低くなります。
簡単な問題から応用へと、段階を踏んで問題を解くことが知識の定着につながります。
また、問題演習・過去問演習は、試験当日の練習やイメージの具体化にも効果的です。
モチベーション維持にも注意する
社会労務士試験のように難易度が高く、多くの勉強が必要な試験では、勉強し続けることが非常に重要です。
一方で、それが簡単ではない点でもあります。
そのため、モチベーションを高く保つように注意しましょう。
トップを目指して励む必要はないのですが、合格点は超えなければなりません。
開業したいのか、就職したいのかといった、何のために試験勉強をしているのか、時には意識することも大切です。
モチベーション維持に効果的な方法は人によって異なりますが、いくつかの例を挙げます。
- 目標を明確にし、定期的に目標を確認・原点を振り返る時間をとる
- オンとオフの切り替えを明確にし、気分転換やリラックスの時間も確保する
- 試験に合格した時のイメージをしてみる
- 他の受験生がいる環境に行き刺激を受ける
まとめ
社会労務士試験の難易度について、合格率・勉強時間の目安・試験科目などをもとに解説しました。
社会労務士試験は非常に難易度が高い資格試験のひとつといえます。
合格するには、ポイントを押さえて、長期的に効率の良い準備を行う必要があります。
また、不安に打ち勝ち、モチベーションを保つことも重要です。
勉強を続ける上での参考になれば幸いです。
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