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税理士試験科目合格者の転職事情

更新日:2023.05.23

税理士の転職お役立ち情報

転職活動をする税理士試験科目合格者の女性

税理士試験の科目合格者は、将来の税理士となるため5科目合格を目指し、日々試験勉強を継続しています。

このように5科目合格に向けて努力をしている方の転職マーケットでの評価は低くありません。
会計事務所の求人案内を見ると、「科目合格者は尚可」「3科目合格者を優遇」のように、積極的に科目合格者を採用している会計事務所が多く見受けられます。

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税理士になる!2022年度(令和4年度)第72回 税理士試験最新情報

税理士試験科目合格者の転職需要は

税理士試験科目合格者向けの求人は、 会計事務所を中心に多くあります。

会計事務所の求人には地域特性があり、
地方では一般的に求人案件数が少なく、首都圏では中堅規模からBig4最大手規模の会計事務所まで大小さまざまな会計事務所が存在し、募集年齢、対応業務、合格した科目数等により、多様な募集があります。

税理士試験科目合格者の転職先は会計事務所が多い

税理士試験科目合格者の価値を最も評価してくれるのは、会計事務所です。

会計事務所の求人募集では、地場のクライアントの往査および事務所内での事務作業の募集要項として「資格は簿記2級から」とする求人が多い傾向です。
税理士試験で科目合格をしていることで、簿記2級より上位の試験に合格しているものとして高い評価を受けることができるでしょう。

大手の会計事務所では、将来の税理士候補を期待した採用が視野に含まれていますが、転職希望者に求めるその他の資質として、高い水準の英語力や、高度で専門的な実務経験を有していることが望まれることも。

これらを満たす科目合格者を積極的採用する会計事務所が多いです。

一般企業の需要もある

一般企業では、通常、在籍中に資格取得したことで評価される会計系の資格として、「公認会計士」「税理士」あるいは「簿記2級以上」等としている企業が少なくありません。
税理士試験の科目合格者は、実績として素晴らしいものの、人事評価の対象に含まれていない可能性が高いことを、あらかじめ理解しておきましょう。

中途採用に関しては、一般企業の経理あるいは財務部門での選考過程において、税理士試験の学習で培われた知識と経験から、より高いパフォーマンスを発揮することができるかどうかが期待されています。

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税理士試験の科目合格者の状況

税理士試験の各科目は、それぞれ合格率が異なっています。

必須項目の簿記論および財務諸表論は必ず合格しなければならず、 選択科目では所得税法あるいは法人税法のどちらかを必ず合格しなければなりません。

働きながら学習をする方は、各科目の総学習時間を考慮した試験対策が大切です。

「令和2年度(第70回)税理士試験結果」では、以下のとおりでした。

<必須科目>
簿記論   17.4%
財務諸表論 18.9%
<選択科目>
所得税法  12.8%
法人税法  14.7%
相続税法  11.7%
消費税法  11.9%
酒税法   12.4%
国税徴収法 12.7%
住民税   19.0%
事業税   14.8%
固定資産税 13.7%

(出典)国税庁

税理士試験の受験者数は年々減少傾向にある

少子高齢化、会計・税務ソフトウェアの普及、クラウドサービスの一般化により、税理士業界を取り巻く環境は大きく変化しています。

この結果、税理士の受験者数は長期的に見て、減少傾向にあります。

受験者総数では、令和2年度の受験者総数は26,673人(合格率20.3%)に対して、平成27年度の受験者総数は38,175 人(合格率18.1%)でした。
およそ30%近い受験者数が減少したことになります。


(出典)国税庁 過去の試験結果等

1科目合格者から4科目合格者までの数は多い

税理士試験の合格者になるためには、5科目の合格が必要です。
社会人であれば毎年1科目ずつ合格して、最低でも5年間かかる計算になります。

合格した科目に有効期限はありませんので、着実に合格に向けて進んでいくことができますが、長期間にわたって試験勉強を続けていかなければならない心理的負担、家庭環境の変化等により、科目合格者の立場をやむなく継続する方も、数多くいます。

科目合格者が実際にどれくらいいるかは分かりませんが、「令和2年度(第70回)税理士試験結果」に基づいて簡易に推測すると、現時点で少なくとも14,600人近い科目合格者数がいることになると考えられます。

以下、推測の前提条件です。

  • 各科目合格者の総数は6,357人でした。このうち最初の第1歩として合格を目指す簿記論または財務諸表論の合格者総数の合計は4,059人です。
    少なくとも1科目合格者が、毎年この人数だけ増えると仮定すれば、5年後の合格までの期間でおよそ20,000人が、科目合格者の総数となります。

  • 税理士試験で5科目合格となった方の数は、同じ年度で5,402人増えました。この数だけ科目合格者数が減少するものとします。

  • <令和2年度の科目別の受験者数と合格者数>
    簿記論 10,757人のうち2,429人が合格
    財務諸表論 8,568人のうち1,630人が合格
    税理士試験の合格者数 5,402人



(出典)国税庁 令和2年度(第70回)税理士試験結果

税理士試験の科目合格者が、全員税理士を目指すわけではない

税理士になれば、法定業務を自らの名前で実施できることや、独立開業が可能になるなど、税理士の独占業務を行うことが可能となり、責任と権限がより大きくなります。

科目合格者が会計事務所に勤める場合は、「税理士補助業務」として働くことが多いです。しかしながら、中堅規模までの会計事務所では、「補助業務」とはついているものの、税理士の独占業務以外の実務作業面は税理士と大きな差がなく業務に携われます。

法人税法のような税法科目や、財務諸表論に合格した科目合格者は、実務に直結した知識を得ていますので、さらに実務経験を積んでいきながら、事務所スタッフやチームのマネジメントを担当することができます。
そのため、科目合格者の状態を継続したままでも会計事務所内での昇進や昇給を果たすことも可能です。

税理士試験科目合格者の転職事情

税理士試験科目合格者の転職マーケットは、前述した通り会計事務所の求人が多く占めますが、その他に一般企業の経理や財務部門にも求人があります。

一般企業では、どのような経理経験があるのかという実務中心の採用となるのが一般的です。

書類選考や面接において、科目合格をしていることに一定の評価を受ける可能性があるかもしれませんが、経理の実務経験が重視されます。科目合格は強い武器というよりも、科目合格の勉強過程で得た高度な知識を、実務にどのように反映できるかが選考のポイントとなってくるでしょう。

簿記論、財務諸表論の合格者は転職しやすい

簿記論と財務諸表論は、経理業務に携わる方にとって、実務にも直結する有益な学習内容であることと、受験をする方の多くが経理業務のバックグラウンドを持っていることを背景に、毎年、多数の受験者がいます。

これらの科目は、学習項目の内容を鑑みると、簿記1級と同等かそれ以上の価値がありますので、会計事務所や一般企業の経理部門等に転職しやすくなります。

法人税法、所得税法、消費税法は会計事務所に転職しやすい

法人税法や消費税法等は、法人クライアントの実務に直結する科目のため、即戦力として、会計事務所に転職できる可能性が高くなります。

所得税法は、個人事業者の課税所得計算、サラリーマンの住宅ローン控除、不動産売買や株式取引等にもかかわるため、個人のクライアントが多い会計事務所で重宝されるでしょう。

所得税法は個人に関する税法として見られがちですが、実務上は法人クライアントに関する給与に係る源泉所得税や、法人から個人に対する配当に関わる等もあります。

科目合格数が多ければ将来の税理士候補として期待した採用がある

転職を検討する科目合格者は、簿記論と財務諸表論に合格していることが多く、さらに法人税法あるいは所得税法に合格していれば、近いうちに税理士試験の合格者になる可能性が高いことが予想されます。

そのため、中堅から大手の会計事務所では、将来の税理士と期待された採用が多い傾向にあります。

一方、一部の中小規模の会計事務所では、科目合格者から在籍した後に晴れて税理士資格を有し、別事務所への転職や独立開業を機にクライアント流出の可能性を恐れ、税理士になる可能性が高い方を敬遠する事務所もあります。

しかしながら、会計事務所業界は長らく売り手市場の状態であることから人手不足に陥る会計事務所も多く、事務所の大小に関係なく転職しやすい状況はしばらく続くことでしょう。

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まとめ

税理士試験の科目合格制度は、医師や弁護士と異なり、一歩ずつ着実に前へ進むことができる試験となっています。

職場や家庭等の環境の変化により、一時的に試験勉強を中断することがあるかもしれませんが、あきらめずに継続することで、税理士試験の合格者を目指すことができます。
そして、その先のキャリアプランを大きく前進させることが期待できるでしょう。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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