税理士業界トピックス
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2012.05.08
国税職員の暗号!? 「マルゲン」「マエルケシ」・・・etc
“国税用語”と言うのをご存知ですか?
税務署OBでもなければ、ほとんどの方は知らないと思いますが、
国税職員同士の会話で日常用語として使われているようです。
会計事務所のスタッフならば税務調査の立ち会いや、
税務職員との交流などで耳にすることもあるかもしれません。
今回は、そんな国税用語について紹介します。
●税務署の「オヤジ」ってだれだ!!
国税用語の代表的なものと言えば「マルサ」が有名ですが、
これは20年以上も前の映画、故・伊丹十三監督の映画「マルサの女」がきっかけで、
「マルサ=国税局査察部」というのが一般にも広く知られるようになりました。
しかし、これが東京国税局の場合だと「ロッカイ」と言われます。
これは、東京国税局査察部が庁舎の“6階”にあったからです。
現在は移動して6階ではないのにその名残というわけです。
税目の呼び方も少し工夫しています。なんとなく昭和の匂いを感じるのですが、
たとえば源泉所得税は「マルゲン」、
消費税は「マルケシ」と言っています。単に「ケシ」という人もいます。
一方で法人税・法人税部門は「サンズイ」、相続税や贈与税などの資産税は「ニスイ」、
所得税は「トコロ」と呼んでいます。頭文字の漢字の部首で示しているわけです。
この部首で呼ぶ言い方は多く、総務課は「イトヘン」、徴収部門は「ギョウニンベン」、
国税局の調査部のことは「ゴンベン」と読んでいます。
国税局資料調査課のことは、「リョウチョウ」と言っており、
これは聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。
国税の現場で「オヤジ」と呼ばれる役職もあります。
何か任侠道(にんきょうどう)的な感じがしますが、
実はコレ税務署長のことを指します。副署長のことは「サブ」。
なので、「オヤジとサブがそろって出かけた」的な使い方をします。
面白いのが女性署長。最近は女性署長も増えており、
男性署長が「オヤジ」なら、女性署長は「オフクロ」と呼びそうですが、
実はこちらも「オヤジ」です。
こうした言い方をするのも、税務署は「オヤジを頂点とした一家族である」
という純日本的な考えが根強いからです。(やはり任侠道に通じているような・・・)
「トッカン」と言われているのは、主に大規模税務署にいて大口案件を扱う
副署長クラスの役職である「特別国税徴収官」「特別国税調査官」「特別国税査察官」となります。
トッカンの次が、トッカン以外の通常の規模の案件を取り仕切る「トウカツ」。
統括国税調査官、統括国税徴収官などとなります。
この下に「ジョウセキ」と呼ばれる上席国税調査官・徴収官と続きます。
●「同じ釜のメシ」が重要なバロメーター
国税職員からは、「本店」「支店」という言葉もしばしば聞きますが、
これは国税局が「本店」で、税務署が「支店」という意味になります。
なので「今回は本店勤務になった」というような言い方をします。
国税庁に関しては、なぜかシンプルに「庁」と呼ばれています。
税務調査に関する国税用語としては、銀行調査を「BK」。
単純に英語で「バンク」なのでこう呼んでいます。昔は「オクラ」とも言っていたようです。
「反面調査」に関しては、「ハンメン」とそのまま言っており、
「重加算税」については、「ジュウカ」と呼んでいそうですが
実は「重いの」とちょっとかわいい言い方をしています。
「重いの」があれば「軽いの」があり、こちらは「過少申告加算税」の意味です。
こうした独特の国税用語を使うのは、職員同志で飲み屋などに行ったときなど、
職場での情報が一般の人に分からないようにするためです。つまりカモフラージュです。
最近は少なくなったようですが、国税職員は職場以外でのコミュニケーション
を好む傾向があり、「同じ釜の飯」ということを重視しています。
つまり、「飲みにケーション」重視という純日本的な職場と言えるかもしれません。
Profile 宮口 貴志
税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。
公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
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