税理士業界トピックス
税金・会計に関するニュースを分かりやすく解説します
2012.07.04
人の口には戸は立てられぬ・・・こわ~い!?税務署へのタレコミ 元従業員からの内部告発も
女優・井上真央さん主演で新番組「トッカン~国税特別徴収官」がスタートし、日頃あまり注目されない国税当局への関心も高まりつつありますが、税務当局の脱税摘発の方法として、関係者などからの情報提供、いわゆる“タレコミ”についてご存知の方は少ないでしょう。 ドラマのようなホントの話がこのタレコミです。実は、一般のわれわれが想像している以上に多いといのだから驚きです。元税務署職員の話では「都内の税務署勤務のとき週に数件はあった」(元国税職員)と言います。
一般的にこのタレコミは、投書や電話、直接税務署に尋ねてくるケースなどさまざまなようです。最近の特徴は、当局のホームページ上の意見募集コーナーに書き込まれる例も少なくないと言います。 タレコミだけに、実際の脱税摘発まで結びつくことは少ないようですが、なかには「さよならホームラン」的な、劇的な案件にぶつかることもあり、税務署では決してこうした情報も軽く扱いません。 税務署にはタレコミに関する対応として、統一されたマニュアルがあるわけではないようです。ケースバイケースで柔軟に対応しているようですが、「とりあえず総務課の課長補佐に回すことが基本。もし、課長補佐が居なければ総務課の誰かが電話を取るようにしていた」(元国税職員)と言います。
タレコミへの対応は、基本的に詳しく話を聞き取り、一通りの聞き取りが終わったら内容を精査・分類して、所得、資産といった各関係部署に連絡する流れになっているようです。所轄が違えば、管轄税務署の総務課に連絡し、聞き取った情報を伝達、対応してもらうことになります。
タレコミの多くは、「恨み」「妬み」「僻み」など、なんとかして相手を痛い目に遭わせてやろうとする目的のものが多いため、当局としても、調査に取りかかる前に情報の信ぴょう性を調べ上げます。たとえばその話が、「お隣の旦那さん、副業で儲けているよう」などの有力情報ならば、ネットオークションやホームページの有無などチェック。あやしいと思えば、自宅や最寄り駅近辺の銀行の反面調査を行い、「通帳の出し入れが逆L字型ならまず商売を営んでいるとみる」(調査官)としています。この「逆L字型」とは、入金がずら~っと続き、そのお金をまとめて1回で引き出しているパターンを指します。これが何度も繰り返されていると、「あやしい」となるわけです。
タレコミ情報の相手が法人の場合となると、ちょっと様子が変わってきます。個人的な恨みから相手を困らせようという内容のものが多くなります。税務署では、その情報が正しいのかの判断ができないため、とりあえず対象法人に対して何らかのアプローチをし、事実確認をすることになるようです。税務署OBの話では、タレコミから脱税を摘発できるのは1パーセント以下とかなり低いと言います。 しかし、こうした信ぴょう性の低い情報の中でも、あてになるタレコミが元愛人だと言います。現金、預金、有価証券といった隠し財産の保管場所や土地の保有状況などを具体的に聞き出せたら、“ホームラン”も狙えると言います。ただ、感情的な話が中心になると、調査しても“ヒット”にもならないこともあるようです。 一般的にタレコミの多くは、元社員が多く、複数の現役調査官によれば「税金や経理に関する専門用語や業界用語を使っていると信ぴょう性が高い」と言います。また、隠し場所や脱税手口が具体的だったり、内部情報をよく知っていると判断される場合もかなりの確率で信ぴょう性が高いようです。 税務署の職員は、信ぴょう性の高い情報だと判断した場合は、とにかくその情報提供者に長く、そして多くのことを話させるように工夫します。些細な話から、決め手となる情報が得られる可能性が高いためです。タレコミだけでなく、誹謗中傷されないためにも、別れ際はできるだけキレイにしておくことが重要のようです。
**** 専門メディアを開設しました ***************************
■会計人のための総合ニュースサイト「KaikeiZine(カイケイジン)」
http://kaikeizine.jp/
税金・会計に関するバラエティーニュースや会計事務所向けビジネス情報、
会計人のライフ情報が見られる総合ニュースサイト。
税金・会計に関するニュースを、他では読めない切り口で伝える専門メディアです。
国税出身の専門家が監修する税金ニュースや、業界で活躍する記者・ライターが執筆する
希少なネタはどれも一見の価値ありです!ぜひご覧ください。
*******************************************
Profile 宮口 貴志
税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。
公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
レックスアドバイザーズへ