税理士業界トピックス

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2012.08.29

メダリストへご褒美
ご存知ですか?報奨金の非課税枠

 過去最高のメダル獲得数となったロンドンオリンピック。日本人選手の活躍に、寝不足で職場に向かわれた人も多かったのではないでしょうか。ロンドンオリンピックでは、金メダル7、銀メダル14、銅メダル17と合計38獲得しました。この大会は、女性の活躍が目立ち、中でも前人未到の3連覇を達成したレスリング女子55kg級吉田沙保里選手、同63kg級の伊調馨選手の活躍は際立っていました。

■金メダルなら300万円

さて、見事オリンピックメダリストとなった選手には、「報奨金」が支払われることになっています。ご存知の方も多いと思いますが(財)日本オリンピック委員会(JOC)からはメダルの色ごとに報奨金が支払われます。金メダル300万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円です。

この金額、世界的に見たらどうなのでしょうか?たとえば、アメリカは金2万5000ドル(約195万円)、銀1万5000ドル(約120万円)、銅1万ドル(約80万円)です。

JOCのほかにも、報奨金を設定している競技団体があります。レスリング女子の吉田沙保里、伊調馨の両選手には、協会から3連覇達成の報奨金として1千万円、所属する「ALSOK」からも数百万円が支払われると言われます。

 競泳の松田丈志選手は、水泳連盟からの500万円の他、所属企業である「コスモス薬品」から、200メートルバタフライで銅、400メートルメドレーリレーで銀メダルを獲得したご褒美として1千万円が支給されるそうです。

 体操の男子個人総合(金)、団体(銀)、種目別ゆか(銀)と3個のメダルを獲得した内村航平選手には、所属先のコナミからの報奨金も合わせて約1千万円となるようです。他にもバドミントンでは史上初のメダリストになった女子ダブルスの藤井瑞希、垣岩令佳ペアに協会から500万円、経営合理化策を打ち出した所属のルネサスからも社内規定に従って支給されるそうで、総額は約1千万円近くになるそうです。

■非課税と課税の分かれ目

 ところで、この報奨金ですが、税務の取り扱いとして非課税のものと課税のものに分かれています。

 現行制度では、非課税なのはJOCからの報奨金。日本レスリング協会や日本卓球協会など一定の団体の報奨金も非課税になっています。反対に給料をもらっている所属企業からもらえば普通のサラリーマンのボーナスと同じで源泉徴収の対象となります。

 かつては、JOCからの報奨金のみが非課税でしたが、平成22年度税制改正で、JOCに加盟している一定の競技団体から交付される報奨金など、一定の金品も非課税となりました。併せてパラリンピックのメダリストへの報奨金も同様に、これまでは(財)日本障害者スポーツ協会(JSAD)からの報奨金のみ非課税だったものが、一定の競技団体からの報奨金も非課税となっています。

しかし、各競技団体からの報奨金で非課税となるのは金メダル300万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円まで。なかには日本陸上競技連盟のように、非課税枠を超える高額の報奨金を出すところもありますが、競技団体からの報奨金でも、非課税枠を超える部分については従来通り一時所得として税金がかかります。

 一時所得とは、営利目的で行う継続的行為以外から生じた所得のことで、労務や役務の対価としての性質、資産譲渡の対価としての性質がない、一時的に手に入れた所得のことを指します。一時所得の額は「総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)」で計算。税額は、一時所得金額の2分の1に相当する金額を、給与所得などほかの所得と合計して総所得金額を求めて課税されます。 

  金メダル 銀メダル 銅メダル
日本オリンピック委員会(JOC) 300万円 200万円 100万円
日本陸上競技連盟  1,000万円 600万円 400万円

※  リレーについては一人当たり上記の半額

  金メダル 銀メダル 銅メダル
日本レスリング協会 300万円 200万円 100万円
日本競輪選手会 3,000万円 2,000万円 1,000万円
日本卓球協会  シングルス 1,000万円 400万円 200万円
日本卓球協会  団体戦 400万円 100万円 40万円

Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
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