税理士業界トピックス

税金・会計に関するニュースを分かりやすく解説します

2013.11.12

会計事務所マーケットは1兆3千億円 統廃合はこれからが本番!?

大変興味深いデータが総務省統計局から出ていました。会計事務所業界全体(税理士・公認会計士)の平成24年の売上などの数字です。現在のマーケット規模を知るのに大変に参考になります。

それによると総売上は約1兆3400億円で、実は前年比でアップしています。この数字ですが昨年の統計です。今年の数字ではないのでびっくりです。先生方からは、「顧問料収入が下がっている」等のお話を聞いていたので、マーケットはしぼんでいるかと思っていましたが、全体的にはそうでもなかったんですね。

おそらく会計事務所の二極化が予想されていますが、その兆候として税理士法人数が増加しています。日本税理士会連合会(日税連)によれば、平成25年10月末現在で本店2668、支店1185件となっており平成24年度末(同24年4月から同25年3月末)から7カ月で本店93、支店61件増えました。

税理士法人数は、1千件を超えた平成17年から毎年約200件ペースで増え、そこで働くスタッフ数も毎年社員税理士が500人、補助税理士が200人ペースの増加となっています。平成25年度は、例年に比べ若干設立件数が鈍いようですが、これは会計事務所業界も法人設立熱が冷め、次のステージに入ったものと思われます。

最近、興味深い統計が総務省から発表されていました。平成24年の統計になりますが、公認会計士と税理士のいわゆる職業会計人マーケットはおよそ1兆3400億円で、前年比でなんと年間11.6%増加しているとのことです。会計人の集まりでは、月額顧問料の低下など、暗い話ばかりが耳に入ってきますが、昨年ですら数字的には右肩上がりになっています。

ちなみに、従業者数は業界として4%増加し、1事務所あたりの平均売上高も11.6%増の4100万円になっています。1従事者当たりの年間売上高は746万円です。

税理士法人の従業員数については、平成23年度の数字になりますが計算したところ、平均11人となっており、個人事務所の平均4人の約3倍規模です。総務省統計局の調査によれば、税理士事務所数は平成21年2万9097件から同23年2万7945件と2年で1152件減少しています。この間、税理士登録者数は約7万1600人から7万2600人と約1千人増加しています。税理士もかつての独立開業から、サラリーマン的に働くビジネススタイルに向かっているようです。

平成13年の税理士法改正により、翌年から税理士法人制度がスタートし10年が経過しました。規模拡大だけが会計事務所の生きる道ではありませんが、今後10年で会計事務所の統廃合が加速化するのではないかと思っています。現在、都市部ではスタッフ数100人規模の会計事務所がかなりの数になりました。多くがこの10年で規模拡大に成功しています。税理士法人制度がスタートする以前は、100人規模の会計事務所は地方都市にわずかしかなかったことからすると、業界の再編はすでに始まっています。 

会計事務所業界市場を見渡せば、ビッグ4系列の税理士法人でも、売上高100億円前後と予想され、市場の1%に届くかどうかという売上です。業界としてまだ百花騒乱といったところです。マーケットの成長過程から見れば、会計事務所業界の戦国時代はこれからが本番です。市場を10%専有するだけで売上は1千億円規模になります。会計事務所業界はどれだけ地元に根付いているか、都市部の大手事務所が乗り込んでいってもなかなか勝てないと言われますが、同じようなことはスーパーや家電量販店などでも言われてきました。どちらの業界も今は数社が市場のかなりを占めています。とは言うものの、局地的に見れば、大手に負けず地元で強いスーパーも少なくありません。しかし、そのスーパーも地域で1番店にならないと大手相手の喧嘩もできません。会計事務所業界はこれから先10年が正念場になりそうです。

Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

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