税理士業界トピックス

税金・会計に関するニュースを分かりやすく解説します

2013.11.26

ホストクラブが申告漏れ!  そのとき調査方法は・・・

秋は税務調査シーズンといわれ、新聞各紙でも「申告漏れ」「脱税」などの文字をよく見かけます。11月9日の朝日新聞には「歌舞伎町ホストら申告漏れ次々」という見出しが踊っていました。

記事は、東京・歌舞伎町のホストクラブ数軒の経営者、ホストらが東京国税局の税務調査を受け、2011年までの3年間で2億円前後とみられる申告漏れが指摘され、それぞれ追徴課税されたという内容です。

記事によれば「税務調査を受けたのは、ホストクラブの個人経営者数人と、収入から必要経費を差し引いた年間所得が1千万円前後の「売れっ子」のホスト数人。クラブを経営する法人も含まれているとみられる」としています。

■お客を装い潜入調査

ホストなどの現金商売の税務調査は、お金の流れを把握するのが大変で、お客となって内観調査、いわゆる潜入調査を行ったりと、入念に調べ上げます。税務当局は、長年のデータから不正パターンは掴んでおり、調査ポイントは明確です。ホストクラブであれば、シャンパンのドン・ペリニヨン(Dom Pérignon)、いわゆる「ドンペリ」のような高級酒の売れ行きを把握します。お客となって潜入し、一通りのサービスを受けながら情報を掴んでいくので、まさに刑事ドラマさながらです。もちろんかかったお金は経費として処理します。税務署長によりその必要資金はかなり違うようですが、歌舞伎町のような繁華街を管轄する税務署はかなり予算を持っているようです。

ちなみにドンペリは、白で5万円、ピンクで10万円、ゴールドで30万円、プラチナで70万円ぐらいらしいです。販売店の4~5倍の値段ってところでしょうか。「らしい」というのも、私もホストクラブには行ったことがないのでこの辺のことは詳しくありません。

ところで、ホストクラブと同じようなネオン街の調査としては、クラブやキャバクラなども潜入調査が行われる業種です。あくまでも遊びを装っての調査ですから、お店の人にバレないようにする調査官の努力は涙モノです。ホステスさんとの会話から、どういったシフトで仕事をしているのか、指名料はどうなっているのかなど掴んでいきます。あくまで、さりげなく聞き出していくわけですから、キャリアがものをいいます。当然、お酒も入るので下戸ではダメです。この手の内観調査がうまい調査官は、自分も楽しんでいると思わせながら、ホステスさんの気分を盛り上げどんどん情報を聞き出します。場合によっては、同伴だってやります。「名刺」だって税務署の名刺は出せませんから、証券会社の社員を装ったりと、工夫するそうです。

■なりきるのもひと苦労

以前、このコーナーで風俗業の税務調査について紹介しましたが(https://www.career-adv.jp/impressions/1371/)、SMクラブにも内観調査が必要となれば行うのが税務職員です。SMクラブの場合、嬢王様に叩かれ、いじめられながらの調査になります。何より、その手の趣味があると思わせなくてはいけないので、これはかなり気合を入れないとだめとのことです。

 

Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

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