税理士業界トピックス
税金・会計に関するニュースを分かりやすく解説します
2014.03.11
会計事務所業界は成長産業!?
昨年は、ビジネス誌に「食えない税理士・会計士」といった見出しも踊っていましたが、そんなに会計事務所業界は景気が悪いのでしょうか?
景気が悪ければ、独立開業する会計人も少なくなるはずですが、会計事務所数はやっと底を打ち、平成25年度から若干回復しています。
総務省の調べでは、公認会計士事務所と税理士事務所を合わせた数は平成13年度には3万3716件でしたが、同18年度に3万2664件、平成24年度3万1222件と減少傾向が続いたものの、同25年度になって3万2077件に上昇に転じています。
同25年度の速報値には、公認会計士事務所、税理士事務所のそれぞれの件数については公表していませんが、同21年度調査では公認会計士事務所3199件、税理士事務所2万9097件だったものが、同24年度は公認会計士事務所3227件、税理士事務所2万7945件と、公認会計士の独立開業が増え、税理士事務所は逆に少なくなっていることが分かります。
背景には公認会計士数の増加に伴う税理士登録の増加が影響していると推察されます。その裏付けとして、公認会計士の税理士登録者数は同18年度に6829人でしたが、同24年度には実に1234人増え、8063人にもなっています。今後も公認会計士の税理士登録はまだ増えることが予想されます。
会計事務所数の増減だけでなく、業界全体の売上高も見てみましょう。会計事務所業界の年間売上高は、総務省の統計によると平成25年度は1兆3698億円と、同24年度の1兆3392億円より306億円アップしています。ちなみに、同23年度は1兆2001億円、同22年度は1兆711億円でしたので、わずか3年で2987億円も増えたことになります。つくづく「食えない~」と言う雑誌の企画に踊らされてはいけないと感じた次第です。
さて、会計事務所業界のマーケットは1兆3600億円とうことは、まだまだこの業界は群雄割拠という感じでしょうか。おそらくビック4系事務所でも年間売上が100億円超ぐらいなので、マーケットの1%以下ということになります。一般企業と比較すると、コンビニエンスストア業界なら、セブン・イレブン・ジャパンとローソンで市場の6割超を占めており、ほぼ市場は固まっています。それに引き換え、会計事務所業界は、どんなに大きくても市場占有率は1%ですから、まだまだひと波乱もふた波乱もありそうです。
Profile 宮口 貴志
税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。
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