税理士業界トピックス
税金・会計に関するニュースを分かりやすく解説します
2014.03.25
増税だけでない国民負担 4月から高齢者の医療費負担も
消費税率が4月1日から8%にアップしますが、この4月から税制が変わるものが多々あります。
企業であれば印紙税の見直しが影響してきます。
「金銭又は有価証券の受取書 = 領収書等」への印紙については、
今までは「3万円未満が貼付なし」とされていましたが、
4月1日以降は「5万円未満が貼付なし」とされ、非課税部分が拡大されます。
不動産の譲渡に関する印紙と建設工事の請負に関する印紙については、次のように軽減されます。
(印紙税の改正)
●不動産の譲渡に関する契約書
4月1日以降
10万円超~50万円以下 400円→200円
50万円超~100万円以下 1千円→500円
100万円超~500万円以下 2千円→1千円
500万円超~1千万円以下 1万円→5千円
1千万円超~5千万円以下 2万円→1万円
5千万円超~1億円以下 4万5千円→3万円
1億円超~5億円以下 10万円→6万円
5億円超~10億円以下 18万円→16万円
10億円超~50億円以下 36万円→32万円
50億円超 54万円→48万円
●建設工事の請負に関する契約書
4月1日以降
100万円超~200万円以下 400円→200円
200万円超~300万円以下 1千円→500円
300万円超~500万円以下 2千円→1千円
500万円超~1千万円以下 1万円→5千円
1千万円超~5千万円以下 2万円→1万円
5千万円超~1億円以下 6万円→3万円
1億円超~5億円以下 10万円→6万円
5億円超~10億円以下 20万円→16万円
10億円超~50億円以下 40万円→32万円
50億円超 60万円→48万円
個人においては、消費税の引き上げに伴い平成26年から同29年までの間に居住した場合には、
控除期間10年とし、住宅ローン控除なども取得分から引上げが行われます。控除額が変わります。
一般住宅の場合は平成26年1月~3月までに年末残高(2千万円までの部分)×1%(最高20万円)ですが、
4月~同29年12月まで年末残高(4千万円までの部分)×1%(最高40万円)となります。
認定住宅であれば、同26年1月~3月まで年末残高(3千万円までの部分)×1%(最高30万円)ですが、
4月~同29年12月まで年末残高(5千万円までの部分)×1%(最高50万円)となります。
この4月から変わるのは税制だけではありません。高齢者の医療費窓口負担も引き上げられます。
現行1割に軽減している70~74歳については、4月2日以降に70歳になる高齢者から本来の2割負担になります。
産休期間の保険料(厚生年金・共済年金・健康保険の保険料)の免除も始まります。
国民年金については、月額支給額が満額で1人当たり475円減の6万4400円になるほか、
厚生年金についても月額支給額が夫婦2人の標準世帯で1666円減の22万6925円になります。
一方で、国民年金保険料は、月額210円増の1万5250円にアップします。
公共料金についても、電気・ガス代が値上げするほか、
高速道路料金についても平日昼間3割引きを廃止、深夜5割引は3割引きに縮小されます。
太陽光発電に関しても、電力の買取料が住宅用で1キロワット当たり1円引き下げ37円。
事業用については4円引き下げ32円になります。
この4月からは、増税だけでなく多方面で国民負担が増えることになります。
給与が数%アップしたからといって、これら負担料を補うのはかなり難しいというのが現実です。
Profile 宮口 貴志
税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。
公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
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