税理士業界トピックス

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2014.03.08

税務調査で使い出した「質問応答記録書」とは・・・

秋の税務調査シーズン、対応に追われている経営者や代理人である税理士も多いと思います。

最近の税務調査でとくに現場が戸惑っているのが、改正国税通則法への対応だと聞きます。
手続き的なことが明確化されたとは言え、調査官も税理士もまだ慣れていないことが多く、トラブルになるケースも少なくないようです。

国税通則法の改正により、今年の7月1日以後からも若干手続きが変わりました。
その一つが税務調査の事前通知。
従前の事前通知は、納税者と税務代理人の双方に対して通知されていましたが、今年7月1日以後からは、税務代理権限証書に『納税者の同意』が記載されている場合は、税務代理人に対してのみ行うものとされました。
なお、この「納税者の同意」は法令上、税務代理権限証書以外の書面や口頭では有効とみなされていません。

このほか、国税通則法の改正を受けてこの7月からスタートしたものに、「質問応答記録書」というものがあります。
従前は、「聴取書」などと言っていましたが、国税当局はこの「質問応答記録書」の扱いを重視しています。
「質問応答記録書」は、納税者の同意のもと作成されるもので、調査に係わる一連の流れから、調査官と納税者のやり取りなどを問答形式で記載、証拠書類として作成します。
最終的には、納税者に対して読み聞かせ、署名・押印も行います。目的は、税務調査における証拠としての活用です。
税務調査における「証拠」は、「物証」と「書証」の2つに分かれます。質問応答記録書はこの「書証」として分類され、国税当局でも非常に重視しています。
国税当局では作成に当たり、課税処分のみならず、これに関わる不服申立て等においても証拠資料として用いられる場合があることも踏まえ、第三者(審判官や裁判官)が読んでも分かるように、必要・十分な事項を簡潔明瞭に記載する必要があるとしています。
なお質問応答記録書ですが、当局内部の話では、署名押印前か後かを問わず写しを求めても交付してはならないとされているようです。
もし、写しを求めたい場合は、個人情報保護法による開示請求をする必要があるようです。
質問応答記録書の扱いについては、税務当局もまだ慣れていないことから、調査官によってばらつきもあるものと思われます。
納税者の代理人である税理士が、改正通則法の趣旨を確認し、納税者にとって不利益にならないようにサポートしていきたいところです。

Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

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