税理士業界トピックス

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2015.01.28

インフルエンザが大流行 予防注射は医療費控除になるの?

今年の確定申告は、2月16日からスタートしますが、サラリーマンに直接影響してくるのが「住宅ローン控除」「医療費控除」ではないでしょうか。
医療費控除においては、インフルエンザの予防注射など、結構控除対象になるのか悩む人も多いようです。
奥様方の中には、とりあえず「医療」に関するものならば、「なんでも申告してしまえ」と、かなり無茶した医療費控除の申告をする人も見受けます。

医療費控除は、病気やケガ、出産などで1年間(1月1日~12月31日)の医療費が家族総額で10万円を超えた人が確定申告することで、医療費控除により税金が戻ってくる可能性があります。
ただ、「医療」とつくからといって、「あれも、これも」というわけではありません。控除対象になるには一定の基準があります。

病院で治療を受け、実費を支払ったものが医療費控除の対象になるのはおおよその検討もつきますが、それ以外の細々としたものについては、その判断に悩みます。

この時期、インフルエンザが大流行しますが、昨年の暮れに予防注射をした人も少なくないと思います。
家族全員で予防注射。4人家族ならこれだけで2万~4万円程度かかります。ならば、なんとしても医療費控除にしたいところですが、基本的にインフルエンザの予防注射は、医療費控除の対象にはなりません。
ガァーン。なぜ?なぜ?と言う声も聞こえてきそうですが、「予防」はダメなんです。
医療費控除の対象になるのは、あくまで「治療」に要した費用。インフルエンザにかかってしまい、医者に行けばそれに要した費用は対象になります。

ならばこの時期多用するマスクはどうなの?
マスクは、この時期から花粉症シーズンが過ぎるまでの消費量は増えるので、医療費控除で落としたいものですが、こちらも治療でなければ医療費控除の対象にはなりません。
その昔、知り合いの社長さんが、病気対策のために空気清浄機や加湿器を購入し、高額になったので医療費控除で落とそうとしていましたが、さすがにこれは顧問税理士に申告を止められていました。あくまで「治療」が対象であって、空気清浄機や加湿器は「予防」に使うものですから。

このほか、医療費控除の対象になりそうでならないのが、医師への謝礼、メガネ、コンタクトレンズ代をはじめ、健康診断の費用も治療ではないので同様にNGです。
ただ、健康診断で重大な病気が見つかった場合は医療費控除の対象になることもあるので、税務署に確認したほうがよいです。

一方で、風邪治療のため、ドラッグストアなどで薬を購入したのなら、その費用は医療費控除の対象になります。忘れていけないのが「明細書」「領収書」です。
意外に知られていないのが、通院時の交通費。日付と交通手段、金額の明細書を作れば、医療費控除として認められます(病院の診療明細の日付と合っていること)。
また、緊急時のタクシー代も大丈夫です。たとえば、急病の子どもに付き添う親の交通費。医師を自宅に送迎するための交通費も同様です。

<医療費控除になるもの>

(1)医師・歯科医師による診療、治療費
(2)治療、療養に必要な薬
(3)治療のため薬局で購入した薬
(4)急病やケガなどで病院に運ばれた際のタクシー代など
(5)通院入院の際の交通費
(6)付添人の交通費
(7)入院の部屋代など
(8)医療用器具の購入費。たとえば、コルセット・義手・義足・松葉杖・補聴器・義歯など
(9)治療に係わるおむつ代。6カ月以上寝たきりでおむつの使用が必要な場合、その購入またはリース代。
(10)助産婦などによる出産介助に対する料金
(11) あんま・マッサージ、指圧師、鍼師、灸師、柔道整復師による施術費
(12)介護保険などによる居宅サービス(*在宅療養については領収書に医師等の証明があったもの)

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Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

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