税理士業界トピックス

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2016.01.22

通勤費非課税枠が15万円に引上げ 28年1月1日から遡及適用

18年ぶりに、通勤手当の非課税限度額が見直されます。

平成28年度税制改正ではなんと、現在の月10万円から一気に、月15万円までが非課税枠になります。 今後、非課税とされる通勤手当の金額を定めた所得税法施行令が改正されますが、適用については、平成28年1月1日以降に受けるべき通勤手当に遡って適用されるので、実務的には注意したいところです。

対象となるのは、電車やバスなどの交通機関、有料道路を利用している人に支給する通勤手当、交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券、マイカー通勤する人の通勤手当など。 通勤手当の非課税限度額は、平成10年度改正で5万円から10万円に引き上げられましたが、その後見直しはされていません。そもそも、通勤手当を支給することは法律で義務付けられていませんが、現状では企業の9割が導入しているようです。

消費税率が5%から8%になったときに引き上げされても良かったと思うのですが、今回は消費税10%への対応の意味もあるらしいです。とはいうものの、企業が交通費支給限度額を15万円まで引き上げなくては、実質的に働く人にとってはメリットがないのですが・・・

中小企業のなかには、就業規則で通勤費の支給額をまだ5万円までにしているところもあるようです。
限度額が上がることによって、助かるビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。とくに新幹線通勤している人。幹線通勤の範囲はかなり広がります。東海道新幹線なら、これまで非課税枠が東京~三島間(92,220円)までだったものが、東京~静岡間(133,860円)まで広がります。名古屋~大阪間(136,640万)も通勤圏内になります。東北新幹線なら、東京~新白河間(142,520円)、上越新幹線なら東京~越後湯沢間(148,870円)、北陸新幹線なら東京~上田間(144,310円)まで延びます。
地方では、自腹をきって新幹線通勤している人も少なくありません。私の知人も、福山~広島間を新幹線通勤していました。同じ広島県内なので、異動は普通にあります。在来線だと通勤に2時間近くかかるのですが、新幹線だと30分。自腹をきっても新幹線通勤を選んでいました。

通勤圏が広がることで、ビジネスパーソンの仕事と生活のあり方を変えるキッカケになるかもしれません。企業もこうした改正に対応し、人材採用について改めて考えてみる必要がありそうです。

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Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

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