税理士業界トピックス
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2016.04.14
消費税の軽減税率 コンビニでのイートイン、フードコートで飲食の国税庁がQ&A
国税庁は4月11日、消費税10%に伴い導入する軽減税率制度について、Q&Aをまとめました。
軽減税率の対象品目は、酒類と外食を除いた飲食料品のほか、定期購読契約をした週2回以上発行される新聞となっています。 外食となる飲食料品との線引きは、分かりずらいとの意見も多く、今回Q&Aで指標を示したもの。Q&Aでは、「いすやテーブルなど飲食の設備がある場所でのサービスの提供」、「客が指定した場所での飲食サービスの提供」を外食と定義し、飲食料品と区別するとしています。
ハンバーガーショップでの取り扱い
私たちの生活に欠かせなくなったファーストフード。その代名詞は、やはり牛丼、ハンバーガーです。どちらも、そこで飲食もできますが、持ち帰りも可能です。Q&Aでは、牛丼屋やハンバーガー店で商品を購入して、そのまま店内で食べた場合は「外食」となって、10%の消費税になるとしていますが、持ち帰る場合は「外食」にあたらず、8%の軽減税率を適用するとしています。
それでは、ピザの宅配や出前はどうなのでしょうか。
宅配も出前も「飲食の設備を設置した場所で行う食事の提供」に当たらないため外食とはならず、軽減税率が適用されます。
ただ、これを店内で食べてしまったら外食となり、軽減税率は適用されなくなってしまいます。また、すし屋で一杯飲んだ後、お土産を握ってもらった場合、そのお土産分は軽減税率の対象となります。つまり、その一人のお客に対して2つの消費税処理が必要になるわけです。これはレジ専用機でもなければかなり大変な事務作業になります。
フードコートでお食事
Q&Aでは、ショッピングセンターなどにあるフードコートについても、軽減税率の対象になるか説明しています。
それによると、フードコートには、テーブルや椅子などが設けられているから外食となり、そこで食べる食事などは軽減税率の対象とならないとしています。
判断に迷うのが、フードコートでのファーストフードなどでの購入です。レジでは、「お持ち帰りですか」と確認するのが一般的なので、店側としてはお客の返事によって、持ち帰りか、外食かを判断することになります。ただ、「持ち帰り」と返事をしておきながら、気が変わってフードコートでそのまま食べるお客も出てくるはずです。この場合Q&Aでは、 外食の判断基準について、「販売時点」の対応を基本に考え、お客が購入後に気持ちが変わって店内で食べた場合でも、8%の軽減税率の対象としています。この当たり、すぐに世間に知られるでしょうから、“気が変わり族”が全国に出没すると思われます。
コンビニなどのイートインはどっち!?
一方、お祭りの露店については、テーブルや椅子などがなければ外食にあたらず、軽減税率の対象となります。ということは、商品を買って、その辺に座って食べる分には軽減税率の対象ということになるわけです。
よくセミナーの後の懇親会に、ケータリングを利用している場合がありますが、「客が指定した場所での飲食サービスの提供」となり、外食として10%の税率が適用されるとしています。 ホテルでのルームサービスについても、ケータリングと同じ扱いです。
コンビニやパン屋でのイートインサービスについては、「持ち帰りが可能な状態で販売される」と判断し、その場で食べた場合は飲食料品の購入として8%の軽減税率が適用されるとしています。
しかし、イートインでも、購入した食品がトレイに載せられて座席に運ばれたり、返却が必要な食器に盛られて提供されると、「その場での飲食を前提に提供される」場合になり、外食と判断されます。
この当たり、対象になりそうなお店では、軽減税率を見据えたサービス展開が予想されますね。コンビになどでは、持ち帰り可能な容器自体が、簡易な食器になるつくりに変わるかもしれません。民間はあの手、この手で軽減税率の対象になるように工夫するでしょう。
学校給食は軽減税率8%
学校給食や老人ホームで提供される食事などは外食と扱わず、軽減税率の対象となります。この辺は、国民としては“納得”の取扱いです。
カラオケボックスでの飲食については、飲食設備のある場所で提供される外食と判断され、軽減税率の適用にはならないとしています。
ゴールデンウィークを利用して、いちご狩りに行こうと企画している方もいると思いますが、軽減税率が導入されると、その入園料は、軽減税率が適用されないとしています。ただ、入園料とは別に収穫した果物を購入する場合は、持ち帰りになるので軽減税率が適用されるとしています。
このほか、スーパーなどで販売されているおまけ付きの菓子商品、いわゆる食玩(しょくがん)については、政令で販売価格が1万円以下で、価格のうち食品が占める割合が3分の2以上のものは、飲食料品に含まれるとして、軽減税率が適用されるとしています。食玩は、1千円未満ならおもちゃの割合が200円まで。1千円を超えると価格の20%までとなっているので、今後、軽減税率の影響で商品の中身も変わってくるかもしれません。
このほか、定期購読契約する新聞については、週2回以上発行されるものが軽減税率の対象としており、スポーツ紙や専門紙も含まれるとしています。一方で、新聞という名称であっても電子版の新聞は、なぜか軽減税率の規定に該当しないとの判断で、軽減税率の対象にならないとしています。
書籍や雑誌については、今のところQ&Aでは触れておらず、今後、詳細が示されるものと思われます。
(詳しくは、https://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/02.htm)
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Profile 宮口 貴志
税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。
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